ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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正捕手争い、問われる首脳陣の覚悟

 今日スタメンマスクを被ったのは木下拓哉。オープン戦初戦が加藤匠馬、2戦目が大野奨太、3戦目が木下、昨日が石橋康太だったので、一応木下が一歩リードという形になる。ただし桂依央利も今日は残念な結果に終わったが攻守ともに好調を維持しており、キャンプを通じて一気に評価を取り戻した。

 それにしてもわずか5試合でアリエル・マルティネス以外のすべての登録捕手が1軍のオープン戦に出場するとは異例も異例。“熾烈な正捕手争い”--スポーツ新聞の見出しならこんなキャッチフレーズが付くのだろうが、その実態は決め手に欠けた“どんぐりの背比べ”でもある。昨季の最多出場は634イニングでマスクを被った加藤匠馬。次点の木下拓哉(216.2イニング)に3倍近く差を付けての圧勝だった。順当にいけば今季も加藤が一番手になるかと思われたが、22日の阪神戦でのパフォーマンスが首脳陣の逆鱗に触れて「無期限2軍降格」を通達されてしまい、状況は一変した。

 

伊東コーチも「期待しているからこそ」と補足してるし、開幕までには戻ってくると思うけどね

 

 

底上げで実力伯仲に

 

 伊東勤、中村武志という1980〜90年代のセ・パ両リーグを代表する名捕手の入閣により、捕手陣の実力は間違いなく底上げされた。5人もの捕手がほぼ横一線で正捕手を競うなど、ドラゴンズ史上でも類をみない事態である。

 もちろん“争い”自体は今に始まったわけではなく、谷繁元信がいなくなった2016年頃から毎年のように繰り広げられているのだが、そのなかでもブレーク前の加藤や赤田龍一郎のように土俵にさえ上がれない選手もちらほらいて、誰にでもチャンスがある今年の状況は極めて異例といえよう。ポジティブに捉えれば全員が一軍起用されてもおかしくないだけの実力を付けてきたわけだ。

 

武志や谷繁がいた時代の3番手以降ったら、そりゃもう正捕手どうこうの俎上にすら載らない選手がたくさんいたもんだ

三輪敬司とか小川将俊とかな。言い方は悪いが、数合わせ以外の何ものでもなかった

 

覚悟をもった起用を期待

 

 こうなると、問われるのが首脳陣の覚悟だ。5人併用なんていつまでもやっているわけにもいかず、首脳陣は一長一短の捕手陣の中から最終的には誰か1人ないし2人を選ばなければならない日が来る。それはつまり長い時間を共に過ごしてきた愛弟子に失格を告げる作業でもあり、実力が伯仲しているからこそ決断は苦しいものになると思う。

 ただ中村コーチも就任時に「フロントも現場も我慢しないと」と語っているように、正捕手というのは使う側も腹をくくらないと育たないポジションである。かく言う中村こそが星野監督の厳しい鍛錬に耐えてその座をつかんだ経緯を持つのだから、その苦労は誰よりも熟知しているはずだ。

 それぞれの捕手に熱心なファンが付いている現状、誰を選んでも賛否がうずまくのは避けられないが、「3月20日にマスクを被る選手が正捕手なのだ」と、そのくらいの覚悟をもった起用を首脳陣には期待したい。