ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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切り札を狙え!

 オープン戦といえども負け試合は気分が悪いものだ。ましてやローテーションの1,2番手を張る左右の軸が共倒れとなれば、いくら調整登板といっても不安になるのがファン感情というものである。

 投手だけじゃない。ここ一番のチャンスをしっかりモノにできる先様の打者に対し、いまひとつパッとしないドラゴンズの若手はお人好しというか、情けないというか。特に初回の2死一、二塁、5回の1死満塁と2度のチャンスで打席に入るもセカンドゴロの間に1打点あげるのがやっとの遠藤一星は、なまじ4番に座った練習試合で活躍しただけに、一軍レベルになった途端にこれでは厳しいと言わざるを得ない。

 まずい守備を連発した三ツ俣大樹にしてもそうだが、いくらキャンプでアピールしても実戦で結果が伴わなければなんの意味もないのだ。せっかく半年間、自主トレに励み、キャンプでいい動きを見せて首脳陣の目を引いても、実戦でダメなら元も子もないし、今までそうやってユニフォームを脱いだ選手を何十人も見てきた。遠藤と三ツ俣は、もしかしたら他球団ならもうクビになっていてもおかしくない立場かもしれない。

 でも縁あってドラゴンズに入団し、今年もこうして応援することができる。幸い、まだオープン戦も2試合目。本当の意味での「実戦」にあたるレギュラーシーズン開幕まで3週間以上ある。いま一度調整し直して、今度こそは本来の実力を発揮して欲しい。2人とも、こんなところで終わる選手じゃないはずだ。

 

 

渡辺勝が狙うべきポジション

 

 良いところのなかった遠藤に対し、しっかりアピールできたのが同じ外野のサブを争う渡辺勝だ。5回1死一、二塁、代打で登場するとサウスポーの石田健大の初球を叩いてライト前にクリーンヒット。代打で初球を迷わず振り切る勇気もさることながら、昨季3打数2三振だった外角高めのゾーンを一軍の主力投手から打てたのは本人にとっても自信になるだろう。

 育成から支配下に昇格して迎えた昨年はキャンプ、オープン戦を一軍で完走し、嬉しい開幕一軍の座を掴んだが、目立った活躍ができずに5月6日に抹消。二軍では格の違いをみせて同月29日に再昇格するも、結局一軍の投手は打てず6月10日に再び抹消されると、次にお呼びがかかったのは既に順位が確定した9月27日のことだった。オフの契約更改では200万アップも、渡辺は「自分のやるべきことができなかった」と1年間を振り返った。

 では考えてみたい。いったい渡辺が「やるべきこと」とは何だったのか。ひいては渡辺は一軍で「何ができる」のだろうか。荒川博の最後の弟子、大豊泰昭を思わせる一本足打法……これだけ聞けばいかにもホームランバッターっぽいが、その実、意外にもアベレージタイプ。外野守備はそれほど上手くなく、10月の誕生日で早くも27歳になる。これらの現状を踏まえれば、狙うべきは“代打の切り札”一択だろう

 

井領、遠藤にはない渡辺の特色

 

 “代打”はここ数年のチームのウィークポイントでもある。昨年は堂上直倫が頑張ったが、左打者となると怪我がちの井領雅貴と、せいぜい遠藤くらいのもの。手薄なこのポジションを埋めることこそが、渡辺にとっての「やるべきこと」なのは間違いない。

 とはいえオープン戦で与えられる少ない打席--1打席か、せいぜい2打席--のなかで毎回アピールし続けるのは至難の技。そう簡単にヒットが打てれば苦労はしないのだが、渡辺は井領、遠藤には無い“選球眼”を持っているのが大きな特色だ。今日の第2打席でフルカウントから四球を選んだシーンなどは渡辺の真骨頂といえよう。

 第1打席では好球必打で初球を引っ張り、第2打席では冷静にフルカウントから低めを見極めた。惨敗のなかにあって、渡辺は「自分のやるべきこと」ができていた数少ない選手だったと思う。

 

去年からやけにマサルさん推すねえ

だっていいじゃん、ワクワクするじゃん! 一本足