ちうにちを考える

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福田永将、守備改革に挑む

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1月の名古屋。僕(記者)が小笠原と雑談していると、福田が近づいてきてこう言った。「ちょっと投げ方、教えてくれない?」。その場でスローイング講座が始まった。一部始終を見ていたが、小笠原の指導は実に理論的でわかりやすかった。
 「下半身をねじれば、上半身は自然とついてきます。福田さんは自分のリリースポイントはわかっていたので、あとはそこに合わせれば負担の少ない投げ方ができるはずです」

 福田永将も気付けば14年目の31歳。昨季は352打席に留まりながらもビシエドに並ぶチームトップの18本塁打を放った。だが“1年間出続ければ30本は打てる”と言われるポテンシャルをもってすれば、まだまだその本領を発揮したとは言いがたい。

 入団当時の触れ込みは“強打の捕手”。その打力を生かすために1年目のオフに内野へコンバートすると、2009年には一軍初打席初ホーマーを記録、また2011年には広いナゴヤドームで藤川球児のストレートをライトスタンドに叩き込むなど大器の片鱗を見せ、将来を担うべき主砲候補の本命に躍り出た。

 だがそこから紆余曲折。捕手再転向、さらに内野手再転向とたらい回しにされるうちに右肩を痛め、2016年に初めて二桁本塁打(10本)を記録した時には28歳になっていた。もう若手とは言えない年齢。当初描いた青写真からすれば、遅すぎるブレークだった。

 右肩痛で出遅れた2017年は7月になってようやく昇格すると、そこから実質3ヶ月で18発を量産。期待された翌年は初めて1年間をレギュラーとして過ごすも13発どまりで、開幕スタメンを逃した昨季は先述の通り規定打席に100打席近く足りないにもかかわらず18発を放ち、その能力の高さをあらためて感じさせた。

 

 

課題は勝負強さをチャラにする拙守

 

 昨季の福田はただ打つだけではなく、欲しい場面で打ってくれる勝負強さが頼もしかった。なんでも古き懐かしい勝利打点(1981〜88年に公式記録として発表)に当てはまると、両リーグトップタイの15個を挙げたことになるそうだ。繰り返しになるが、わずか352打席での数字である。

 ただ一方で、福田の守備で落とした試合も3,4個、パッと思い浮かぶのも確かだ。特に9月12日の広島戦、藤嶋健人から堂林翔太が放ったライナー性を当りをレフト福田が追いつけずにサヨナラ負けを喫した場面は、限りなくAクラスが遠のいた瞬間として絶望感と共にフラッシュバックされる。あと一歩、あと1メートル届かずグラブの先を通過し、転々とするボールを追いかける外野手の背中ほど悲哀に満ちたものはない。たとえ18発の本塁打を打っても、それをチャラにしてしまうほどの悪いイメージを植え付けるのが外野の守備ミスである。

 仮に福田が平均並の守備力を手に入れれば、シエラやアルモンテを差し置いてレギュラーの座につく可能性は高い。福田自身も開幕からレフトで競争することになる今季を迎えるにあたり、ずいぶんと守備力向上には励んでいるようだ。

 

右脇を締めて守備範囲が劇的に改善

 

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 昨秋、もともと左後方への打球を追うのが苦手だった福田は外野守備の練習を動画撮影してチェックすると、右脇を締めずに走っていたことが発覚すぐに修正したところ、工藤隆人コーチも目尻を下げるほどウソのようにスピードが増したというのだ。これには元高校球児でスポーツライターの加賀一輝氏@ikki_0306)も「そんな少年野球みたいなことがあるのか! 」と困惑気味に感嘆。常人には考えが及ばないような高いレベルで戦うプロとて、案外コツを掴むときは簡単なことがきっかけになるのかもしれない。

 この新走法に加え、小笠原仕込みのスローイングを習得した福田に怖いものはない。シエラ、アルモンテらライバルをなぎ倒し、“真のレギュラー”になる日は近い。

 

ポジション的にも和田さん曲線に乗りかけてないか?

和田さんのキャリアハイは38歳の2010年。福田もまだ全然いけるな

 

【参考資料】

クラシックSTATS鑑賞

「宇佐美式勝利打点」を調べてみました・2019|全日程終了