ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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根尾、漫画の域に達す

 昔っから男子というのは「必殺技」が大好きな生き物だ。漫画でも、特撮でも、あるいは時代劇に至るまで、大抵の男子向きコンテンツには必殺技か、それに類するものが出てくるのは、そんな男子の需要を見込んでいるからに他ならない。必殺技とひとえに言っても幅広いが、とりわけ男子ごころをくすぐるのが「いかにもそれらしい原理が説明されてる」系の必殺技、もしくはフレーズだ。

 例えば特撮の名作「宇宙刑事ギャバン」は主人公の一条寺烈が「蒸着! 」と叫ぶことでギャバンに変身できるが、このときシンセサイザーのBGMと共に「宇宙刑事ギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒にすぎない」というナレーションが流れる。そして「では蒸着プロセスをもう一度見てみよう」といって、0.05秒の間に宇宙船からスーツが転送される様子などを丁寧に“スローモーション再生”する演出がお約束だった。加えて蒸着そのものの原理もしっかり設定されており、「地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機ドルギランから特殊軽合金グラニウム製のコンバットスーツが粒子の状態で電送され、烈の体に吹き付けられるようにしてコンバットスーツが構成されていき蒸着が完了する」*1のだそうだ。

 

何言ってんのかさっぱり分かんないけど、なんかかっけーー‼︎‼︎

 

 という、この感じ。これが男子の心を鷲掴みにするのである。で、そんな男子のひとりである私が小学6年生のときに猛烈に刺激を受けた作品。それが名作「るろうに剣心」だ。今さら説明する必要もないメガヒット漫画だが、作中にでてくる敵キャラ・悠久山安慈が繰り出す必殺技「二重(ふたえ)の極み」がとにかく最高だった。一見するとただのパンチだが、巨岩や大木を粉微塵にするほどの破壊力を持つ。その原理を作中のセリフから紹介しよう。

 

 「いいか 今 主 は この(拳大の)石を壊すため拳打で衝撃を加えるとしよう

 だが石に限らず全ての物には抵抗が存在するため その衝撃は完全に伝わりきらん

 つまりそこに無駄な衝撃が出来てしまう訳だ

 ではその無駄を失くすにはどうすればいいか まずこう拳を立てて第一撃を加える

 そしてその第一撃目の衝撃が石の抵抗とぶつかった瞬間 拳を折って第二撃を加える

 すると第二撃目の衝撃は抵抗を受ける事なく完全に伝わり 石を粉砕する

悠久山安慈

 

 いかがだろうか、このいかにもらしい原理の説明。そもそも物質の抵抗とはなんぞやという野暮な疑問は置いておいて、当時の私は「かめはめ波や霊丸は撃てないけど、これならできる‼︎ 」と根拠のない希望を持ち、せっせと壁や机を相手に“二重の極みもどき”の練習に励んだのである。

 世代によって「北斗の拳」だったり「ドラゴンボール」だったり、最近なら「鬼滅の刃」なのかも知れないが、とにかくいつの時代も男子というのは「よく分からないけどロマンのあるフレーズ」に憧れるものなのだ。

 

根尾、漫画の域に達す

 

www.nikkansports.com

 2年目の飛躍が期待される根尾昂が、初動負荷理論でおなじみのトレーニング研究施設「ワールドウイング」での自主トレの模様を公開した。山本昌やイチローのトレーニングにも長年携わってきた小山裕史代表は初対面の根尾について「非常に高いポテンシャルを持っている。関節などの動きの制限を2日間で解除できた。彼は順応性が高い。早くミスタードラゴンズになって欲しい」と大絶賛したという。気になる箇所があったので、もう一度読んでみよう。

 

 「関節などの動きの制限を2日間で解除できた」

 

か、関節など…の、うご…きの制限を…2日…間で?“解除”で…きた…?

 

何言ってんのかさっぱり分かんないけど、なんかかっけーー‼︎‼︎

 

 え、っていうか解除って何。いつから根尾の関節、鍵かかってたの。それを2日間で解除ってどゆこと。てか解除するとどうなるの。ダメだ、やっぱり全然意味不明だけど、小山先生が「北斗の拳」の読者だったことだけはなんとなく分かった。

 

 

*1:ピクシブ百科事典「蒸着」