ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ドラゴンズ平成在籍選手ドラフト

 去る12月14日、東京駅から日本橋方面に数分歩いたところにある雑居ビルの一室において、日本で最もディープでマニアックなイベントが開催された。その名も「ようやっとる座談会」。2014年の開始当初は元々の知り合いである中日ファン3人(木俣はようやっとる@kimata23、一輝@ikki_0306、BBユウヤ@yuya51)が居酒屋でワイワイと中日談義に華を咲かせるという、ありふれたファン同士の飲み会だったのだが、ある時期から誰が言い出したのか上記の名称が付き、会場も居酒屋からホワイトボード、Wi-fi完備の会議室に拡大。

 前回大会からは新たにアマチュア野球研究家のヤマデニス氏@yamadennis)の参戦により、従来には無かった多角的な視点を得ると、さらに今回は「中日新聞プラス」で好評連載中「『データ』で考える中日ドラゴンズ」執筆者でおなじみのロバートさん@robertsan_CD)を特別ゲストに迎え、二次会含めて9時間ぶっ通しの長丁場で延々とドラゴンズの過去、現在、未来について侃侃諤諤の大議論を繰り広げたのである。

 

議論が白熱し過ぎて殴り合いに発展することも…

ねえよ

 

 

ドラゴンズ平成在籍選手ドラフト

 

 今回のメインイベントは「ドラゴンズ平成在籍選手ドラフト」。その名の通り平成30年間にドラゴンズに在籍経験のある選手のみを対象とし、参加者5名でドラフト会議をおこなうという架空のマニア系イベントだ。これが想像以上に楽しかったので、この場を使って報告する。

 まず、イベントのルールは以下の通り。

 

【平成在籍選手ドラフト レギュレーション】
1 ドラフト
 1-1. 各チーム20名を選出し、内訳は投手8名、野手12名とする
 1-2. 1巡目は入札形式、2巡目からウェーバー、3巡目逆ウェーバーとする
 1-3. 指名対象選手は「平成に在籍していた選手」とする(例:'19/7入団の松葉、武田は対象外)
2 オーダー作成
 2-1. 投手は先発、中継ぎ、抑えを埋める、配分は自由
 2-2. 野手は各守備位置とベンチ選手とする、役割は自由
 2-3. 外国人枠は4人とし、野手、もしくは投手4人の構成は不可とする
 2-4. 各選手における成績等の対象は中日在籍時とする(例:小笠原道大の日本ハム、巨人時代の成績は考慮しない)

 2-5. 各選手における成績等の対象は平成以降のものとする(例:昭和と平成を股にかける小松辰雄、宇野勝などは平成以降の成績、能力のみ反映)

 

 現実のドラフト会議と同様、1位指名は競合の可能性があるため、慎重に選ぶ必要がある。果たして300名以上の候補者の中から真っ先に選出された平成を代表する5選手とは!?

 さっそく1位指名選手を紹介しよう。

 

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 意外な人選にも映るかもしれない。単純に残した成績だけでいえば他にも優秀な選手はたくさんいるが、これが人気投票ではなくドラフト形式の面白いところ。最終的なチームのバランスを考えた上で、希少価値の高いポジションや役割を優先して埋めていくのがドラフト戦略の常套手段なのだ。

 例えば捕手でいえば、平成以降のドラゴンズで確固たる存在と呼べるのは中村武志、谷繁元信の2人だけ。3人目以下は極端に能力が落ちてしまうため、1巡目指名でこの2人が真っ先に消えたのは、まさにこうした先を見据えた戦略といえよう。

 また娯楽としては競合が発生した方が絶対に楽しいにもかかわらず、見事に全員が一本釣りに成功したあたり、このドラフトに懸ける各人の並々ならぬ真剣さが伝わってくる。これはもはや遊びではなく、ファンとしてのプライドを賭した戦いなのだ。

 

 2巡目から20巡目までの詳細は割愛するが、驚くべきは「他に誰がいたっけ?」という状態には誰一人として陥らず、次から次へと淀みなく平成を彩った選手の名前があがり続け、下位に至っても「うわあ、取られたあ!」といった駆け引きが繰り広げられたことだ。参加者たちの見識の深さにはあらためて恐れ入る。

 

 約2時間を要して全100人(20×5)の選手が出揃うと、今度はオーダー組みに取りかかる。時代を超えてホワイトボードに蘇る歴戦の勇士たち。100人の選手が並ぶその壮観な景色を眺めているだけで涙があふれてくる。

 それでは全5チームの陣容を一挙にお見せしよう。

 

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 いかがだろうか。それぞれのチームに特色が出ていて面白い。ロバートさんは「自分が野球を見始めた1999年以降の選手で選ぶという縛り」を自らに課し、比較的新しい面々が並ぶチーム構成に。かたやBBユウヤ氏は典型的な懐古主義で、ナゴヤ球場の雑多な香りが漂ってきそうなメンバーが並ぶ。一輝氏はバンスロー、ライアルという単年のみ活躍の外国人が下位打線を締めるオーダー。浅尾拓也がクローザーを務めるのもいかにも「夢のオーダー」っぽくて良い。ヤマデニス氏は1巡で谷繁を獲得しながらも控え捕手で大石友好を確保。荒木雅博、堂上直倫の二遊間などセンターラインの充実は別格だ。また与田剛、岩瀬仁紀、大塚晶文と各時代のクローザーが3人並ぶリリーフ陣の盤石っぷりには目を見張る。私、木俣は守備力を度外視した外野陣で打ち勝つ野球を目指した。エースの西本聖には首を傾げる方もおられると思うが、侮るなかれ。平成の中日では唯一の20勝投手(1989年)である。なおクローザーの田島慎二は2016年仕様である。念のため。

 

 実は5チームの中から参加者投票で優勝チームを決める予定だったのだが、あまりにそれぞれのチームに味わいがありすぎて「選べない!」という結論に至ったほど五人五色のチームに仕上がった。

 そんな感じで今回も大盛り上がりの中で終宴をみた「ようやっとる座談会」。会場を居酒屋に移しての二次会では、1930年代の野球史にまで話題が及ぶなど、そのディープさは回を増すごとにパワーアップしている。次回は果たしてどのような企画を行うのか。なんにしても、参加者の皆様、長丁場お疲れ様でした。ようやっとる!