ちうにちを考える

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大野雄大、年俸1億超えは確実!


www.nikkansports.com

 中日が大野雄大投手(31)に今オフの契約交渉で1年と3年の2種類の条件を提示することが1日、分かった。

 年俸は1年なら1億2000万円、3年なら3億6000万円プラス出来高払い。年俸ベースではいずれも今季6000万円から倍増で、来季にも国内フリーエージェント(FA)権の取得条件を満たす左腕の選択が注目される。

日刊スポーツより

 注目の大野雄大への提示条件について、日刊スポーツがかなり具体的な情報を出してきた。そこに記載されている数字が真実だとすれば、久々に中日球団にたいして「ようやっとる」と拍手を送るべき内容だといえよう。

 今季は開幕からローテを守りきり、投球回177.2、9勝8敗、防御率2.58の成績で最優秀防御率のタイトルを獲得。特に後半戦は阪神戦でノーヒットノーランを達成するなどエースとしてチームを牽引した。普通に考えれば今季6000万円からの大幅アップは確実だが、見方を変えれば去年までの過去3年間で14勝しかあげておらず、特に昨季は0勝に終わった投手でもある。

 また“完全復活”といわれる今季も、援護に恵まれない不運こそあれど惜しくも二桁勝利を逃したのは事実。ただでさえシビアな中日査定班がこのあたりをどう評価するのかが焦点とされていたが、蓋をあけてみれば意外や意外。満額回答といっても過言ではない条件で大野の頑張りに報いた。私はてっきり1億円が攻防ラインと睨んでいたので、この金額を記事で見たときには自分のボーナスでもないのに思わずガッポーズしてしまった次第。

 冗談はさておき、どこぞの金満球団であっても今年の大野に出せる条件はこの程度ではないだろうか。いわんや、あの中日が提示した条件としては破格ともいえる内容に、大野自身もすごくいい評価をしてもらっている。一発サイン?そうですね」と下交渉を踏まえて既に合意に達したことを認めた。

 

悲壮な覚悟で臨んだ2019年シーズン

 

 「今年アカンかったらユニホームを脱がないといけないと思っていた」

  大野は30日に出演した「ドラHOT+」(東海テレビ)で悲壮な覚悟でシーズンに臨んでいたことを明かした。

 開幕前に当ブログでも紹介したように(下記リンク参照)、大野雄大の投手生命はあるコーチとの確執により風前の灯火となっていた。ドラフト1位で入団し、3年連続二桁勝利をあげるなど順調にエースへの階段をのぼっていた選手が、怪我したわけでもないのに未勝利に終わるというのは普通ではない。

 

www.chunichi-wo-kangaeru.com

 

 首脳陣の一新で大野をとりまく環境も一変した。以下、NumberWebより抜粋。

球団内部には「大野にはトレードで新しい環境を与えた方がいいのでは」という声もあったが、新監督はそんな動きを即座に凍結。それどころか「170イニング投げてくれ」と主軸としてのノルマを早々に与えた。

NumberWeb コラム「草茂みベースボールの道白し」2019.9.29 より

 

 ここ数年、すっかり失っていた自信をよみがえらせたのは与田監督だった。しかし言い換えれば、この期待に応えられなければ二度と信用は戻らない。もしダメなら「ユニフォームを脱がなければいけないと思っていた」というのは紛れもなく本心からの言葉だろう。

 結果的に大野は周囲の期待以上の復活を遂げたわけだが、驚くべきは疲労によりパフォーマンスが低下するはずの夏場以降、まるで水を得た魚のごとく投球に磨きがかかっていったことだ。

 しかし、実は開幕時点では自分自身の能力を疑っていたと明かしている。

 「正直、自信がなかったんです。オープン戦で(アレックス)ゲレーロに3ランを打たれましたし、開幕して本気になった1軍のバッターを抑えられるのかと」

(文春野球「思考は実現するーー勝てなかった中日・大野雄大を変えた言葉たち」より)

 

 半信半疑の気持ちが消え去り、確かな手応えをつかんだ契機はどこだったのだろうか。大野自身に問うてみなければ本当のことは分からないが、おそらく5月7日の広島戦がターニングポイントになったのではないかと推測する。開幕から白、黒、白、黒、白と勝敗を交互に並べ、順番どおりならこの日は黒。しかし大野は9回3安打完封勝利を飾り、法則を破ったのだった。

 元来、乗せられやすいタイプの男だ。オールスター時点で3.01だった防御率は、後半戦の10登板を経て2.58まで改善した。もちろんその中には完全復活の象徴でもあるノーヒットノーランも含まれる。170イニングのノルマを課した張本人である与田監督も、まさかタイトルホルダーにまでなってくれるとは想像していなかったはずだ。

 

 かくして死の淵からよみがえった男に対して球団が出した評価は倍増の1億2000万円。どうせ1億円に届かない9500万円あたりで渋々サインしたあとの浮かない表情の大野を見るはめになるだろうと覚悟していたので、思いのほか円満更改になりそうで本当に安心した。願わくば複数年契約を選択して来オフの心配事まで払拭してもらいたいところだが、果たして大野が出す結論やいかに。