ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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巨人、デニー友利招聘へ

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 巨人が国際部スカウト部門強化の一環として、今季まで中日の国際渉外担当を務めていたデニー友利(友利結)氏(52)の招へいに動いていることが29日、分かった。来季8年ぶり日本一を目指す中で、外国人選手の働きはチームの成績に大きく影響すると考え、ドミニカ共和国などさまざまな地域に太いパイプを持つデニー氏に白羽の矢を立てた。新たな助っ人発掘ルートの開拓で、選手層をさらに厚くする。

 

 森繁和SDが中日を退団するとき、ファンが最も危惧したのが他球団からの引き抜きの恐れだった。森が15年かけて築いた独自ルートは現地の治安問題もあり、他球団が容易に真似できない唯一無二のパイプとして長きにわたって中日に恩恵をもたらしてきた。ダメで元々、当たれば儲けものと言われる助っ人スカウトにあって、近年だけでもビシエド、ガルシア、ゲレーロ、アルモンテと次々に当たりを発掘。少し遡れば2010,11年の連覇に貢献したブランコ、ネルソンを筆頭に、プチ活躍した選手まで含めれば枚挙にいとまがない。

 そのパイプと眼力をまるごとよそに持って行かれればダメージは計り知れず、さすがの中日球団も森に対して契約の延長を要請したそうだが、「少しゆっくりしたい」という本人の意向を受け、9月末をもって円満退団。とはいえプロ野球80余年の歴史を紐解けば、持病や休養を理由に退団したはずのコーチが翌年他球団のユニフォームを着ていた、なんてのはよくあることで、森の動向も一応気にはしていたのだが、はっきり言ってデニーに関してはノーマークだった。そうきたか読売、侮りがたし。

 

自前助っ人の出来が鍵を握る

 

 巨人は12球団のなかでもとりわけ自前の外国人発掘が不得手といわれている。それもそのはず、1980年代に活躍したクロマティ(現臨時打撃コーチ)を最後に大成功と呼べる助っ人は未だに現れず、次点で打率.293、本塁打22のマック(1995,96)の名があがる程度には確かに得意とはいえなさそうだ。

 しかしこの球団は自前助っ人のリスクを他球団から引っ張ってきた選手で補うことができるので、それほど自前助っ人の出来にチーム成績が大きく左右されることもないのだが、ここ10年ほどでメジャーの年俸インフレが急加速し、マイコラスやロドリゲスのようにチャンスを掴んだ選手が早い段階で海を渡ってしまうケースが増えてきたのは誤算だったかもしれない。そうなれば今までのように他球団の優良外国人を好き勝手には“強奪”できなくなるわけで、自前助っ人の出来が今後も巨人が盟主としてセ・リーグを支配できるかどうかの鍵を握るのは間違いない。

 で、デニーである。いつも森とセットだったデニーがピンでどれほどの活躍ができるのかは未知数だし、興味もある。これでいきなり巨人が主に中南米から当たりを引き始めたら、今まで我々がモリシゲの功績として讃えてきた仕事が実はデニーの手腕によるものだったのだと気付かされるかもしれない。

 

 

原vs落合 奇妙な因縁

 

 それにしても巨人は……いや、“原巨人”はどうしてこうも中日からの引き抜きが好きなのだろうか。井端弘和にはじまり、堂上剛裕、吉川大幾と相次いで中日を自由契約になった選手を獲得。まさかデニーにまで食指を伸ばすとは思いもしなかった。

 

デニーはモリシゲの側近、つまり落合の息のかかった人物だからだろ

原の落合コンプはガチだからな。いまだに落合中日と戦ってるつもりなんじゃないか

 

 ドラフト競合1位で巨人に入団した原辰徳は、2年目にして30本塁打を記録するなどトントン拍子でスーパースターへの階段を駆け上った。しかし時を同じくしてパ・リーグ、しかも不人気球団のロッテで不動の4番に君臨する落合博満は、原を遥かに上回る成績を叩き出して最強の名を欲しいままにした。エリート、爽やか、そして天下の巨人軍のスーパースターは、訳の分からない経歴を持つ無精髭を生やしたロッテの選手に“名”では勝てども肝心の“実”で敗北を喫したのだ。原にしてみれば面白いわけがない。

 さらに1993年オフには長嶋茂雄監督たっての希望で落合が巨人に移籍。このとき原は既に力が衰えており、あの10.8決戦で4番に座ったのは長年巨人を支えてきた原でも、期待の若手・松井秀喜でもなく、この年入ってきたばかりの外様の落合だった。複雑な思いを抱くのは無理もあるまい。

 監督になっても因縁は続く。先に監督に就任し、いきなり日本一を果たした原を追うかのように落合も2004年に中日監督に就任すると初年度にリーグ優勝。2006年にはこの年から監督復帰した原の目の前で胴上げされ、さらに翌2007年はリーグ優勝した原巨人を落合中日がCSで完膚なきまでに叩いて下克上に成功してしまう。そこから原巨人は3連覇を果たすが、翌年からは負けじと落合中日も2連覇と、まるで奇妙な因縁にでも取り憑かれたかのように長年ライバルとして戦い続けてきた両者。

 とっくに落合は現場を退き、中日にも属していないのだが、原にだけはまだ憎っくき落合の幻影が見えているのかもしれない。ふとそんなことを感じた今回のデニー招聘だが、さすがに考えすぎか。