ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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朗報届かず……ロドリゲスは退団決定的

 つい1ヶ月前まで日本シリーズが開催されていたのが嘘のような寒さに、クローゼットの奥から厚手のコートを引っ張り出してきた方も少なくないだろう。早いもので週が明ければ12月。世の社会人にとっては避けて通れない忘年会シーズンの到来となる。恋ダンス、バブリーダンス、U.S.Aときて今年は何を踊ればいいのか、今ごろから準備を始めているおじさん達が日本中に数え切れないほどいるのかと思うと泣けてくる。たとえ本番でダダ滑りしても、どうか冷たい視線を浴びせないであげて欲しい。おじさんだって若い社員と仲良くなりたくて必死なのだ。

 さて12月は忘年会シーズンであると同時に、実は3月に次いで別れが多い季節でもある。コトブキ退職だったり転職だったり、理由は様々なれど心機一転をはかるには年末年始は節目として分かりやすい。そして野球界にとっても12月は特別な意味を持つ。11月30日に提出する保留者名簿から外れた選手は退団となり、他球団との交渉が可能になるのだ。締め切りを直前にして、ヤクルトがバレンティンとハフを名簿に載せないことを発表した。阪神はジョンソン、ドリス共に交渉が決裂したという。そして中日も……。ずっと恐れていたその日が、遂に来てしまった。

 

ロドリゲスは保留者名簿に載せず

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 1ヶ月以上待ち望んでいた朗報は遂に届かなかった。加藤宏幸球団代表は29日、明日が提出期限の保留者名簿からロドリゲスを外すことを明かした。 

 実質的なタイムリミットである今日、まだ薄暗い午前5時にいつもより早く起きて中日スポーツ一面を確認するも、そこに載っていたのは125万円の治療機を購入したという石川昂弥の満面の笑顔。うん、自己管理の意識が高いのはとても素晴らしいことだし、プロ入り前の高校生が自己投資なんてなかなかできることじゃない。高校生にして女を取っ替え引っ替えして遊んでいた池田高時代の水野“山猿”雄仁に比べれば、その意識の高さはあっぱれと言うほかない。でもその笑顔は、できれば二面か三面で見たかった。

 かくして今朝も一面が「ロドリゲス残留」であれという願いは叶わぬ夢に終わった。そういえばちょうど1年前の明日、11月30日は「ガルシア退団」が唐突に伝えられた日でもある。前日の一面がかの有名な「根尾ラーメン」で、完全に油断していたところでのまさかのエース級助っ人流出に全中日ファンがア然呆然。フォークの神様・杉下茂も驚きの落差に、怒りも通り越して笑うしかなかったのが、まるで昨日のことのようである。

 

最後は笑顔で送り出そう

 

 加藤代表によれば、ロドリゲスの希望はあくまでメジャー復帰だという。一度はメジャーに見放された男が遠い極東の島国で能力に目覚め、今度は向こうから大金を持って迎えに来るのだから夢のある話だ。

 思えば昨年の夏、ロドリゲスが日本にやってきたばかりの時は大して期待もせず、「またよく分からない外国人でお茶を濁すのか」と冷めた目で見ていたのが恥ずかしい。最初は調整不足もあって打ち込まれる場面も目立ち、今となっては信じられないが二軍落ちも経験。再昇格後は才能の片鱗を見せ始め、シーズン終盤にはクローザーを任されることもあったが、それにしても今季、まさかここまで覚醒するとはさすがに想定できなかった。

 相手打者が誰であれ、まったく打たれる気もせず安心して見ていられるリリーバーなど全盛期の浅尾拓也かロドリゲスくらいのもの。まさにチートの称号がふさわしい最強左腕は、気づけば日本のプロ野球にいてはならないレベルにまで達していた。こんな投手を2年間、自軍の選手として応援できたことはファン冥利に尽きるといえよう。

 だから今回、退団が決定的との報道を受けても、残念ではあるが“無念”という想いは持たないようにしたい。無念とは悔しさのことだ。友が新しいステージへと歩を進めるのに悔しさはそぐわない。別れはいつもツラいものだが、2年間共に戦った仲間として、最後は笑顔で送り出そうではないか。

 ロドリゲスはたくさんの想い出、そして教訓を残していった。サウスポーの160キロは誰も打てないということ、本当にすごい投手はその気になれば三者連続三振くらい簡単に取れるということ、そして「青い血が流れている」という言葉はやっぱり信用できないということ。ありがとうロドリゲス 、今日の日まで共に戦えたことが俺たちの誇りだ。

 

とか言って来月には原とグータッチするロドリゲスの姿が……

冗談でもやめやがれ