ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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マスター阿部、300%超アップの3,000万円でサイン!

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 中日・阿部寿樹が28日、契約更改交渉に臨み、今季年俸から2050万円増となる3000万円でサインした(金額は中スポ推定)。“背水”の覚悟で臨んだ4年目の今季は二塁のレギュラーを掴み、129試合に出場して打率.291を記録するなど大ブレーク。来季はさらなる活躍が期待されるが、「僕自身、レギュラーと思っていない。競争という意識を持ちながらやりたい」と浮かれることなく気を引き締めた。

 

マスター阿部の2019年を振り返る

 

今季、阿部のここまでのブレークを予期できた人が一体どれだけいるだろうか。忘れもしない開幕2日前の3月27日、中日スポーツ3面には「渋すぎるぜ与田サプライズ」というフレーズと共に「開幕二塁 阿部スタメン濃厚」の見出しが躍った。率直に言おう。私の頭の中では、なぜ?の合唱が鳴り響いた。

 有象無象の控え選手のひとりだった阿部は与田監督の目に留まり、キャンプ、オープン戦を一軍で完走。もちろんプロ4年目にして初のことだったが、15試合32打席に立ったオープン戦では打率.259、本塁打0と決して猛アピールとは言えない成績に終わっている。

 同じ頃、打撃改造をおこなった堂上直倫が好調をキープし、開幕二遊間は堂上、京田陽太で決まりとの見方が大勢を占めていた。もちろん敢えて阿部を推す声などほとんど聞こえて来なかったし、なんなら故障明けの根尾昂を無理にでも使えという無責任な意見の方が目立っていたほどだ。それくらい阿部は、今となっては信じられないが地味な立ち位置の選手だったのだ。

 転機は早々にやって来た。本拠地開幕戦となる4月2日の広島戦。同点で迎えた8回裏、一死満塁のチャンスでフランスアから8球粘った末に決勝2点タイムリーを放つと、お立ち台ではボソボソと喋った後に「最高で〜す!」と本家・阿部(慎之介)のお株を奪う絶叫でファンをア然とさせた。なんとなく朴訥なのだろうと勝手に思い込んでいただけに、このギャップはインパクト大だった。

 こうなるとルックスも地味どころか個性的に見えてくるから不思議なものだ。4月半ばには伊東勤ヘッドコーチが「バーのマスターっぽいから」と付けた「マスター」というあだ名があっという間に定着。本業のバッティングも多少の浮き沈みはありながらも、ここぞでの勝負強さを発揮し、夏場にはすっかりなくてはならない存在となった。最後はやや失速して打率3割には惜しくも届かなかったが、初めて規定打席に到達したシーズンとしては満点に近い数字といえよう。

 そんな阿部が来季の目標として掲げたのは、意外にも今季7本を記録した本塁打の増加ではなく「長打率のアップ」だった。これは「広いナゴヤドームでは本塁打よりも二塁打を狙うべきだ」というアロンゾ・パウエル巡回打撃コーチの考えにも一致する。

 2021年のホームランテラス設置を前に、まずは長打力を鍛えて自他ともに認める不動のレギュラーへ。そうすれば自ずと年俸も上昇し、夢の大台にも案外簡単に到達できるはずだ。マスターならできる!

 

昔、TBSが格闘家に「叛逆のカリスマ」とか色んなキャッチフレーズを付けてキャラの定着を図ったことがあったけど、阿部ちゃんは「マスター」のあだ名で一躍人気者になったね

【参考資料・引用】

中日スポーツ「ドラニュース」