ちうにちを考える

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川又米利氏、7年ぶりの現場復帰を考える

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  注目されていた二軍打撃コーチにOBの川又米利氏が就任することが決まったと日刊スポーツが報じた。今日の段階で中日スポーツからの大本営発表はなかったが、記事によれば近日中に新スタッフが正式発表されるという。

 兼ねてから話題になっていた“左の打撃コーチ”。当ブログでは楽天時代に与田監督と接点のある草野大輔、磯部公一が有力だと書いたが、蓋を開けてみれば選ばれたのは身近な存在だった。灯台下暗しというか、「そうきたか」と。ある意味で意外性のある人選だ。

 中日一筋の元選手会長。現役時代は女性人気も高く、黄色い声援の数ではアイドル的な人気のあった彦野利勝にも負けていなかった。引退後は中京テレビ等で解説者を務めたが、2002年から山田監督の下で二軍打撃コーチに就任。さらに翌年には一軍打撃コーチに昇格し、荒木雅博、井端弘和、福留孝介ら、後の黄金時代を支えるスター達の成長に携わった。

 2004年の落合政権では二軍打撃コーチに戻るも一年限りで退任。その後は再び解説者として活躍する傍ら、名古屋市内のクラブチームの総監督を務めた。

 2012年の第二次高木政権で8年ぶりに現場復帰(二軍打撃コーチ)を果たすも、色々あって2年間で退任。以降はローカルケーブル局のスターキャットに出演するなど細々とした活動が続いていた。

 

そして7年ぶり3度目の現場復帰

 

 かつての人気者の久々の現場復帰。さぞ歓迎ムードかと思いきや、今朝この一報を聞いたファンの反応は意外にもシビアなものだった。

 原因はあきらかだ。発表が長引くにつれ、他球団の大物と交渉しているため遅れているのでは、という噂がひとり歩きを始めたのである。他球団の大物とは、具体的には平石洋介前楽天監督

 ソフトバンクが平石を打撃コーチに招聘したという報道が出た翌日、地元仙台のローカル番組に出演した平石の「お話を頂いているところも何個かありますので熟考したいと思います」という言葉を中日ファンが都合よく解釈しただけなのだが……。かく言う私も平石の就任を期待した一人である。

 ちなみに平石の口からは中日の“ち”の字も出ておらず、招聘したのかどうかさえ不明。この件で憶測に基づいて球団を叩くのがお門違いであることは強調したい。

 

ジョイナス関係者への根強い不信感

 

 もう一つ、川又が歓迎されないのは第二次高木政権の影響もあるのだろう。

 俗に言う“ジョイナス”に関与した首脳陣は、80年代に活躍した生え抜きOBが大半。かたや他球団では90年代や00年代を知る選手達が続々とコーチに就任するなかで、中日だけが時代に逆行したような一種のダサさを醸し出し、「OBを揃えればファンは喜ぶはずだ」という球団サイドの思惑とは裏腹に、烈火のごとき批判に晒されたのだった。

 彼らの現役時代を知るファンには思い入れが強い面々なのかも知れないが、悲しいかな昭和懐メロで若者が喜ぶわけもなく。その一角を担った川又が、今まさに大きく変わろうとしている中日に再復帰と聞いてもあまり良い印象を持てないのは仕方あるまい。

 連続Bクラスの口火を切ったジョイナス関係者への不信感は根強いのだ。

 

今の時代に合った指導者

 

 ただ、個人的には川又の就任について少なくともネガティブには捉えておらず、どちらかといえば賛同寄りに近いかもしれない。

 圧倒的な指導力を持つ人材は別にして、コーチの仕事は基本的に選手が気持ちよく野球をするためのサポートだと考えている。その点、数多の中日OBのなかでも指折りの“いい人”で知られる川又ならパワハラの心配もなく、若手はのびのびとプレイすることができるはずだ。ある意味で今の時代に合った指導者と言えるのかもしれない。

 

 とはいえ、確かに川又就任の一報を受けたときの第一印象が、良くも悪くも拍子抜けだったのは否めない。心のどこかで平石や、立浪和義が来ることを期待していたから。

 それでも「ちっ、川又かよ」とは思わなかった。なんというか、「川又かーーい」という感じ。根尾昂や石川昂弥を擁する中日の未来を託すにはちょっと物足りない気もするが、よねチーなら、まあ大きな失敗はないはずだ。