31日、三井ゴールデングラブ賞が発表され、中日からは三塁手で高橋周平(初)、外野手で大島洋平(2年連続7度目)が選出された。
だが注目された京田陽太は坂本勇人に57票及ばず落選。ほとんどの守備指標で京田が上回ったにもかかわらず、坂本が選出されたことに対してファンの間からは不満の声が漏れている。
もちろん坂本の守備が素晴らしいことに一切の異論はない。昨年までは坂本こそがセ・リーグで最もうまい遊撃手だったのは紛れもない事実であり、今季も勝利への貢献度という観点でいえば、優勝チームの不動のレギュラーだった坂本が一定の評価を得るのは当然である。
ただ、今季の坂本はキャリアハイを記録した打撃とは裏腹に守備指標は著しく悪化し、同じ守備機会を同じ守備位置の平均的な野手が守る場合に比べてどれだけ失点を防いだかを表すuzrは、規定に到達した11人のうち8位(昨年までの5年間は3→1→2→3→2位)というおおよそ信じがたい成績に終わった。
入れ替わるように守備指標を大きく向上させたのが京田だ。uzrは夏場に源田壮亮に抜かれるまでトップを走り、遊撃手としては12球団最多の1183イニングに出場してわずか9失策というのは特筆すべき数字である。今季に関していえばゴールデングラブ賞に相応しいのは京田であることは誰が見ても明らかだが、投票権を持つ記者が選んだのは坂本だった。
記者の目は節穴なのか
同賞の投票権は、“新聞社、通信社、テレビ局、ラジオ局のプロ野球担当記者として5年以上にわたり現場での取材を主に担当している記者”(出典:三井・ゴールデングラブ賞 公式サイトより)に付与される。
プロ野球の表も裏も知り尽くした100人以上の目利きが選ぶ栄誉ある賞といえば聞こえはいいが、実態はイメージ先行の人気投票の域を出ず、同じく記者投票で選出されるベストナインとの差別化ができていないとの指摘もあり、先行基準の曖昧さを問う声が年々広がっている。
無論、記者といえども担当外の球団の試合までつぶさにチェックしているわけではないだろう。また、客観的なデータのみに頼るのではなく、記者の主観が加味されるからこそ賞レースとして盛り上がるのも確かだ。だが、時が経てば残るのは結果だけだ。結果は選手の評価となり、評価は年俸にも影響を及ぼす。選考結果があまりにも実態とかけ離れていたとしても、無記名投票である以上、記者が責任を問われることはない。
京田はダントツの成績を残したにもかかわらず、その守備力が正当に評価される機会を逃した。そして今季、坂本と同じく大きく指標を落とした大島は、球界屈指のセンターとしてのイメージを更に強固なものとした。ちなみにセンター部門でuzr1,2位に輝いた神里和毅と辰巳涼介はいずれも落選した。これでは記者の目は節穴なのかと疑いたくもなる。
今や記者よりファンの方が見識がある?
現状の投票方式である以上、優勝でもしない限りは純粋に守備力のみが評価されることは無さそうだ。となれば、京田が同賞を取るにはバッティングを磨くことが一番の近道になる。本人も秋季キャンプのテーマを「バッティング。僕にはそれしかない」と話すように、来季は卓越した守備力に加えて打撃面でも進化した姿を見せたいところだ。
不見識な記者の目に触れるような活躍をしないと取れないのか、この賞は!
“ヘタな記者よりファンのが色々よく見てる説”もいよいよ濃厚になってきたな