ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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出オチ

●1-3(54勝65敗2分)

 

184分のせめぎ合いは、ものの数秒であっけなく幕を下ろした。9回裏二死一、三塁。打席には堂上。確率は低くとも、うまくハマれば一打で同点ないし逆転サヨナラまで生む可能性を持つ一か八かの代打だ。夏休み最後の思い出づくりに駆けつけた子供達も大勢いるスタンドでは祈りのような声援と歌声がこだまする。

初球のストライクを見逃し、2球目は低めに大きく外れる。その時だった。捕手・中村悠が何かに気付いて矢のような送球を二塁に向けて投げると、なんと一塁走者の遠藤が二塁ベースの1メートル50センチほど手前で長い足を折り曲げてスライディングの体勢を取ろうとしているではないか。この瞬間、既にボールは山田が捕球し、“飛んで火に入る夏の虫”を待ち構えている状態だ。リクエストを要求する余地など一切ない悠々のアウトでゲームセット。

何が起きたのか咄嗟に理解できない、いや理解したくないファンは一瞬の静寂を置いたあと、大きくため息をつき、思い思いの恨み言を口にしてスタンドをあとにした。父親と見に来ていた根尾のユニフォームを着た少年の言葉が切なかった。「せめて普通に負けるのを見たかった」。全ファンの本音だろう。絵日記を付けるなら、夏休み最後の日の感想はこう締めくくりたい。「ドラゴンズは、やっぱり弱くて格好悪かった」と。

 

危機管理の意識が低すぎる

 

100%成功が確信できなければ走ってはいけない場面でなぜ遠藤は走ってしまったのか。与田監督は「作戦は明かせない」と真意を隠したが(これは指揮官として当然)、万一送球が逸れればたちまち1点差となり、なおもランナー三塁となる場面。推測するに首脳陣は(あるいは遠藤は)エラーを恐れて刺しに来ないだろうと踏んだのではないだろうか。ところが中村は容赦なく刺しに来た。来ないことを前提に余裕を持ってスタートを切ったものだから、ベースのかなり手前でタッチアウトという結末になってしまった。もしこの推測が当たっているとすれば油断に他ならず、危機管理の意識があまりにも低いと言わざるを得ない。

 

“消去法代走”は走らない方がマシ

 

代走の在り方にも疑問がわく。昨日も同点で迎えた9回裏に代走の亀澤がやはり無謀な盗塁を仕掛けてアウトになったばかり。果たして重要な局面での盗塁を決められない選手が代走の切り札と言えるのだろうか。スペシャリストを作りたいという首脳陣の意志は伝わるし、方向性は間違っていないと思う。だが亀澤も遠藤も消去法で代走に選ばれた感が否めず、実際に両者共に特別足が速いわけでも走塁がうまいわけでもなく、今ドラゴンズの一軍にいる選手のなかでは“比較的足が速い”という域を出ない。

にもかかわらず試合の展開をダイレクトに左右する場面で代走として登場し、漫然と盗塁を仕掛けて当たり前のように刺されるのは作戦としてあまりに杜撰すぎやしないか。ちなみに遠藤の盗塁成功率は.571(7-4)で亀澤は2度仕掛けて2度失敗。盗塁の損益分岐点が成功率75%前後と言われる中で、どちらも代走の役割を担える数字とはお世辞にも言えまい。

決まれば一気にチャンスが広がる場面であっても“消去法代走”なら走らない方がマシ。現状、信頼できる代走はドラゴンズにはいないのだ。

 

ちなみに二軍でチームトップの11盗塁を決めている渡辺勝は成功率.846。今すぐ呼ぶべきじゃないか!

 

ところがどっこい、話はそう単純じゃないんだ。二軍で8盗塁の亀澤の成功率はそれをも凌ぐ.888を誇る。にもかかわらず一軍ではあの体たらくだ

 

その二軍で成功率.307(13-4)の高松はどうなってんだよ……