ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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セオリーに溺れる

●4-5(51勝63敗2分)

 

野球というスポーツには様々な状況に応じての無数のセオリーが確立されており、首脳陣は状況ごとに定石を打つのか、あるいは外すのかを瞬時に判断してプレイヤーに指示を出すことになる。当たるも八卦当たらぬも八卦、むしろ当たらないことの方が遥かに多い難儀な商売であるからこそ、ほとんどの監督が大抵の場合においてセオリー通りに指揮を振るうのだ。そりゃそうだ。セオリー無視の独自性の強い采配を振るって失敗すれば鬼のように叩かれるが、セオリーに準じた結果であれば采配への批判は幾分か緩むものだ。

セオリーとは、いわばプロ野球80年の歴史が編み出したリスク回避のためのマニュアルなのである。

 

延長戦のセオリー

 

さて9回にドラマが待っていた今日の試合。文字どおりあと一本で決着を付けることができたのに、どうしてもその一本が出ないのが弱いチームたる所以だろう。

ただ延長戦に入れば圧倒的にホーム有利であることは間違いなく、おまけに勝ち継投を使い切った広島に対してドラゴンズはまだ豊富なリリーフ陣が残っており、いくら今年延長戦に弱いと言ってもさすがに今日はいけるだろうと。弱いくせに調子に乗ったのが大間違いだった。

延長戦に突入した場合、ホームチームのセオリーはいちばん優秀なリリーバーから順に使っていくこと。すなわち確実に表をゼロに抑え、裏でのサヨナラに期待するという作戦である。通常いちばん優秀なリリーバーとはクローザーであり、かつてのドラゴンズも同点で迎えた9回表、10回表は岩瀬が投げることが多かったと記憶している。

では今日の場合、鈴木誠に回る最大の難所でもある10回表に誰を投げさせるのかとなったとき、セオリーに準ずるならクローザーの岡田ということになるが、現状のリリーフ陣のなかで岡田がいちばん優秀かと問われれば甚だ疑わしく、最近の安定感から見て藤嶋かロドリゲスのどちらかで乗り切るべきだと個人的には思った。だが実際にマウンドに現れたのはセオリー通りの岡田で……、嫌な予感というのは見事に的中するものだ。

 

セオリーに溺れる

 

岡田が絶対的なクローザーであるならば文句は言うまい。だが現状の岡田は就任の経緯を含めて暫定的なクローザーであることは否めず、セオリーに当てはめるには実績も安定感もあまりに弱い。それならば一旦セオリーは頭から外し、このイニング、この打順に対しての真に最適な人選とは何かを柔軟に考えてみて欲しかったのだが、残念ながら今日の与田はセオリーの表面をなぞるような采配を振るってしまった。

「◯◯で負けたら仕方ない」。そんな風に言える存在が出てくるまでは、このセオリーはあくまで参考程度に留めておいてよさそうだ。