ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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戦慄の新人

◯7-4(50勝62敗2分)

 

大阪勢として2年連続となる履正社高校の優勝で幕を閉じた夏の全国高校野球大会。大エース奥川を意地の四番井上が打ち砕くという構図はさながらプロ入団後の前哨戦のようでもあり、もしかすると両者ともに指名、獲得するかもしれないドラゴンズのファンとしては早くも紅白戦を見ているようでワクワクが抑えきれなかった(あくまでドラゴンズファーストの私は、高校生の青春ストーリーさえもドラゴンズ目線の損得勘定で考えてしまうのだ)。

さて近年はもっぱら高校生にスポットライトが当たりがちなドラフト会議だが、去年のドラフトでは根尾、藤原、小園、吉田輝といった甲子園のスター勢に隠れ、東洋大学の三羽ガラスも野球ファンの間では大いに話題を呼んだ。DeNAの1位指名・上茶谷、ソフトバンクの1位指名・甲斐野、そしてドラゴンズの2位指名・梅津である。150キロトリオとも謳われた三人のうち、前者ふたりが開幕から順調に戦力として活躍する一方、梅津は自主トレ期間に発症したインピンジメント症候群の影響で出遅れ、先週12日の阪神戦でようやく初登板を果たし、嬉しい初勝利を飾ったのだった。

 

勝てる投手の投球をみた

 

10日ぶり二度目の先発となる今回の相手は首位をひた走る巨人。言っちゃ悪いが前回対戦した阪神打線とは比にならないほどの強敵で、真の実力を測るには不足ない相手だ。そのうえデビューからの先発2戦2勝はドラゴンズでは1987年の近藤真一まで遡るらしく、続けて勝つことがいかに難しいかが分かる。ダメで元々、大船に乗った気持ちで(実際は泥舟だが)投げてもらいたいと思っていたのだが、蓋を開けてみれば梅津は巨人相手にも臆することなく攻めの投球を貫き、6回94球5安打3失点で余力を残してリリーフにバトンを渡した。

感心したのは4回の投球だ。先頭の坂本には3球勝負で見逃し三振を奪い、続く丸も4球で片付ける。警戒しすぎてのボール先行から崩れる投手が多い中で、梅津の新人らしからぬ度胸が頼もしい。だが先ほどホームランを打たれた岡本に四球を許すと、続く阿部にもストレートの四球、ゲレーロには痛い死球を与え、あっという間に満塁としてしまう。トントン拍子のときほど一つリズムが狂うと調子が一変するものだ。

しかしここで崩れないのが梅津のすごさ。初球から大胆に変化球でストライクを取ると、カウント1-1からやはりストライクゾーンへのストレートを投じ、レフトフライに仕留めて事なきを得た。並の新人なら場の空気にのまれてストライクが入らなくなってもおかしくないところ、梅津はあくまで冷静に自らを律して難所を切り抜けた。

ちなみにのべ26人の打者と対戦し、5球以上を投じたのは4分の1以下の6人だけ。早いカウントから積極的にストライクを取ることで間延びせずに自分のペースを維持できる、まさに“勝てる投手”の投球だったと思う。

 

近藤真一に挑む

 

勝利を託したリリーフ陣が襷を繋ぎ、梅津は32年ぶりのデビューから2戦2勝という快挙を達成した。

ちなみに32年前の主役・近藤真一は三度目の登板となる8月23日の阪神戦で1安打完封を成し遂げ、記録をさらに伸ばした。さあ梅津はどうだ。今回と同じく中9日での登板なら次回はナゴヤドームでのヤクルト戦が濃厚。今から待ち遠しい。