ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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弱者、ここに極まれり

●1-2(49勝61敗2分)

 

圧倒的に自分より実力の勝る相手と遭遇すると悔しさを通り越して憧れを抱く。「あ、この人には勝てないな」という諦めにも似た敗北感。相手が強すぎるのであればなんとかそれに追いつき、追い越そうと努力するモチベーションにもなり得るが、こちらが一方的に弱すぎる場合には憧れなんて高尚な感情は生まれず、ただただ我が身を引き裂いてやりたいほどの情けなさと恥ずかしさといったネガティブな感情に打ちひしがれるものだ。

 

開始初っ端に見せつけられた差

 

では今日の試合はどうだっただろう。巨人が強すぎたのか、ドラゴンズが弱すぎるのか。あるいは、その両方か。初回、二死一、三塁の大城の打席で巨人は動いた。一塁走者の岡本が盗塁を仕掛けると、強肩自慢の捕手・加藤は待ってましたとばかりに矢のような送球を投じる。不自然に減速する岡本。気づいたときには既に遅し。走り出していた三塁走者の丸を堂上が慌てて刺そうとするも間に合わず、あっけなく2点目を奪われた。

実は近年、巨人戦でディレイドスチールを決められるのは初めてではない。記憶している限り二度。2015年4月2日のナゴヤドームで打者相川のときに三塁走者・村田が仕掛けて松井雅が引っかかったのと、同年4月28日の東京ドームでも打者アンダーソンのときに金城が仕掛けて桂が引っかかっている。それ以降、高橋由伸政権下では無かったようなので、おそらく原監督お気に入りの作戦なのだろう。

それ自体はお見事ではあるが、4年ぶりの原復帰により強さを取り戻した巨人に対し、4年前と同じ作戦にまんまとしてやられるドラゴンズは、いったい何をしてきたのかと叱責されても仕方あるまい。

さらに2回表、一死一塁でのメルセデスの犠打で一塁走者の増田大が内野陣の隙をついて三塁を陥れたシーンではビシエドの送球も逸れ、あわや本塁生還まで許しかねないドタバタっぷり。かたや何本ヒットを打ってもランナー釘付けで得点の入らない地蔵のごときドラゴンズとの対比は火を見るよりも明らかで、その内訳はやはり巨人の強さよりもドラゴンズの弱さの方が勝っていたように思う。

 

弱者ここに極まれり

 

今日の巨人のような鮮やかな攻撃をドラゴンズが仕掛ける側に立つのを、もう随分長いあいだ見ていない気がする。いつも苦杯を舐めるのはこちら。今日だって、まるで規則正しく進行するルーティンワークのように淡々と凡退を繰り返し、3試合連続でHQSを記録した大野雄は3試合連続で報われることなくマウンドを降りた。

深刻なのは、今のドラゴンズの面々が重盗や相手の隙をつく走塁といったクレバーな攻撃を決める姿が想像すらできないことだ。仮に与田監督が指示を出しても格好悪く失敗に終わる姿は容易に想像できるが……。

 

巨人はこの4年間で容赦なく補強を重ねて陣容を一変させた。一方のドラゴンズは補強らしい補強を怠り、肝心の場面で犠打を決められない心の弱さ、あいかわらず満塁でからっきしの堂上など、もう何年も見続けてきたいつもの暗黒風景が広がるばかり。いつになったら変わるのか。あるいは変わらないのか。「ようやっとる」とは言ってられない現状に、球団が気付く日はまだ遠そうだ。