ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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心の脆さ

●3-9(46勝55敗)

 

最高の形で勝利した翌日にあっけなく惨敗を食らう。もう何回見たか分からない「いつものパターン」でもって心をへし折られるのは金輪際御免被りたい。

落とし穴は7回に待っていた。3点を返して反撃の狼煙を上げた矢先、さらに流れを引き寄せるべくマウンドに上がった祖父江がピリッとしない。犯した“間違い”はふたつ。先頭の丸に打たれたことを責める気はない。それよりもその次、岡本の投ゴロを投げ急ぎ、ゲッツーを取り損ねたのがひとつめ。そこから傷口を広げ、結果的に球審のシビアなジャッジとアルモンテの守備に泣かされたのは自業自得。再三のピンチを好フィールディングで凌いだ昨日の大野雄とは真逆のあまりに軽率なプレーであった。

そしてふたつめの“間違い”は、11球もの根比べの末に痛恨の3点タイムリーを打たれた若林との対決……ではなく、そのあとのゲレーロに許した9点目のタイムリーだ。試合の大勢が決して緊張の糸が切れたのだろう。気持ちは分かるが、あまりにも脆すぎる。

若林に打たれた時点でビハインドは5点。たしかに大きな点差だが、周知のとおりドラゴンズは終盤に大量点差をひっくり返されたことが多々あるわけで、裏を返せばいつ自分たちが“ひっくり返す側”になってもおかしくないとも言える。ましてや3イニング残っている段階で諦めてしまうのは拙速すぎやしないか。祖父江の脆さが生んだ痛すぎる4点だった。

 

祖父江、手本になれず

 

失点に気落ちして更なる失点を呼び込んだのは祖父江だけではなく、先発の山本も同じだ。5回表、二死走者なしから四球を与え、丸の2ランで3点差に広がると、ここまでよく粘っていた山本の中の何かが切れた。不調の岡本に初球を叩かれてツーベースを許すと、続く阿部にはアウトハイに甘い変化球を投じてまたしても2ランを浴びる。あれよあれよの4失点。まだ中盤であることを考えれば「たかが3点差」と割り切ってもよかったところ、山本は「されど3点差」と重みを感じてしまったのだろう。

もちろん山本はまだ若いのでこれも勉強だと捉えることもできるが、そこに甘えてしまうといつまで経っても成長は見込めない。6年連続Bクラスという泥沼は、個々人の意識の隙が生み出したものでもある。少しビハインドが広がると意気消沈し、余分な次の1点まで与えてしまう心の弱さだったり、焦りからつまらないミスを犯してしまう雑さだったり。こうした細かい隙の積み重ねこそがチームの地盤沈下を生んだのだと、そう断じるのは少々乱暴だろうか。

 

話を祖父江に戻すが、たしかに若林に打たれた時点でほとんどのファンが負けを確信したと思う。普通に考えれば敗色濃厚。それでも数年に一度あるかないかの大逆転が今日起こるのだと信じ、目の前のアウトを必死に取る義務がマウンド上の投手にはある。

本来であれば山本に対して喝を入れる意味でも祖父江はお手本になるような“気持ちの切り替え”を見せなければいけなかったのに、高卒2年目の投手と同じように意気消沈し、ゲレーロ、さらには亀井にも打たれる祖父江の姿は絶対に山本には見て欲しくないものだった。

 

こういうのを負け癖と呼ぶんだね

 

そう。しかも負け癖は後輩にも伝染する。だからこそ弱い集団には心を鬼にして「闘志なき者は去れ」と言う必要があるんだ