ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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天敵現る

●2-3(41勝44敗)

 

いつの時代もなぜか打てない天敵がいるものだ。2000年前後でいえば広島の佐々岡真司には毎度のごとく苦しんだ記憶があるし、ヤクルトの館山昌平は2008年〜2009年にかけて7連敗を喫するなど落合ドラゴンズ最大のライバルとして立ちはだかった。その他にも山口俊や、今年でいえば早くも3勝を献上している大瀬良大地がパッと浮かぶあたりか。

そこに新たに名を刻もうとしているのが、今夜の相手先発・平良拳太郎だ。プロ初勝利を挙げたのがおととし5月10日のドラゴンズ戦。昨季こそ4試合対戦して19イニング防御率4.95と打ち崩したが、それでも土をつけることは出来なかった。今季は5月29日にナゴヤドームで対戦しており、6イニング3安打1得点でまたしても敗北。足かけ3年、通算6度の対戦で未だに勝てていないのだから、そろそろ「予告先発・平良」と聞くだけで嫌な予感がするというもの。だが今日に限っては8連勝中というチーム状態に加え、こちらの先発もエース柳とあって大いに勝算はあると見込んだのだが、平に対する苦手意識は想像以上に根深かったようだ。

 

7回目の対戦も攻略ならず

 

象徴的だったのが5回表の攻撃だ。この回は球数も70球を超え、平の制球に乱れが生じ始めていた。先頭の堂上にはカウント3-1とボール先行の投球となるも、5球目のど真ん中真っすぐを打ち上げて凡退。続く木下もやはりカウント3-1から低めの真っすぐに手を出してセカンドフライに打ち取られてしまう。柳が四球で歩いて1番平田は初球から手を出すもファーストフライで万事休止。凡退した3人に共通するのは、いずれもストライクゾーンの球を狙い打ったにも関わらずフライに打ち取られたという点だ。打者としては「来た!」と思って打ちに行っても、平特有のムービングボールに芯を外されてしまうのだろう。決して制球が安定しているタイプではないので、フルカウントまで粘って四球狙いに切り替えるのも攻略の手立てなのかも知れない。

結局、前回と同じ6回3安打に抑え込まれ、7回目の対戦でもまたしても勝つことはできなかった。次はちょうど一週間後のナゴヤドームでの対戦が予想される。8度目の正直へ。リベンジを期待したい。

 

負けてもミッションは遂行する柳の逞しさ

 

そんなわけで破竹の連勝も「8」で遂にストップしてしまったが、今まで何度もチームの連敗を止めてきた柳で負けた分には素直に結果を受け入れられるだけ良かったのかもしれない。「柳で負けたら仕方ない」。本気でそう思えるような投手になってきたのだと、今日の投球を見ていてあらためて感じた。

たしかに初回の被弾は痛かった。あれで全体の流れを持っていかれたのは間違いない。だが2回以降はランナーを出しながらも要所を抑える本来の投球を取り戻し、終わってみれば7回までスミ3で投げ切ってくれたのだから文句の付けようがない。驚くべきはその球数で、初回は球審との相性も悪く32球を要したにも関わらず、トータルでは105球に収めているのだ。

イニング数以上に球数で交代時期を見極められることが多い現代野球において100球はひとつの目安になる。明日、あさっての先発は長いイニングがあまり期待できない山井と笠原なので、今日の柳にはなんとしても7回まで投げてもらい、リリーフを休ませたいところ。残念ながら試合には負けたが、その点に関してはしっかり役割を果たしてくれた。

エースはただ闇雲に投げるだけではなく、色々なチーム事情を背負わなければならない時がある。初回から3点のビハインドを負う苦しい展開でもミッションを遂行した柳の姿はとても逞(たくま)しかった。