ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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満月に吠える

◯6-4(40勝43敗)

 

サヨナラ勝ちの代償はあまりにも大きかった。高橋周平の負傷離脱である。昨夜の段階では「突き指だろう」との楽観的な見解が大方を占め、今朝の中スポにも「抹消はしない」と載っていたのでひとまず安心していたのだが、蓋を開けてみれば最悪も最悪。右手小指靭帯断裂という字面からしておぞましい重症で、事実上の「今季絶望」となってしまった。

これがまだ死球による負傷なら、あるいは全力プレーの結果なら諦めもつく。だが今回の牽制死は高橋自身の凡ミスと言わざるを得ず、タイムリーを打って浮き足立っていたのか何なのか知らないが、こんな事で“覚醒した高橋”の2019年が終わってしまうとは残念で仕方がない。入団8年目。ようやく才能を開花させ、首位打者、そしてGG賞も目指せる位置に付けていたというのに、好事魔多しとはよく言ったものだ。

 

そしてチームとしても、せっかく3位に浮上して上げ潮ムードになった矢先の主軸の離脱は痛いなんてもんじゃない。昨夜のヒーローインタビューで平田が語った「頑張るだけじゃいけない。勝たなきゃダメ」という言葉。そして「目標は優勝」という高らかな宣言。つい24時間前は頼もしく感じた平田の心意気も、高橋がいなくなった今では虚しくこだまするばかりだ。

 

キャプテンがチームの足を引っ張ってどうするんだ!胸のCマークが泣いてるぞ!

 

よりによって牽制死なんて……。なあ、藤井

 

豊橋の満月に阿部が吠えた

 

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藤嶋の血行障害が発覚して以来の暗澹たる気持ちに沈みきっていた“へなちょこ”な私は、正直言って今日の試合もあまり見る気が起きなかったほどだ。それでも長年の習性として、18時になると自然と試合をチェックしてしまう己の野球ジャンキーっぷりに苦笑しながらも、年に一度の豊橋開催をとりあえず楽しむことにした。

夏の地方球場はいいものだ。薄着のファンが窮屈そうに芝生席で万歳三唱する様子や、町内放送のようなスピーカーから流れる音の割れた「燃えよ!ドラゴンズ」、そしてカクテル光線に照らされながら夜空を舞う白球など、風情があって少しノスタルジックにもさせてくれる。テレビ越しに見ていてもビールを美味しく感じるのは気のせいだろうか。

さらに今夜は豊橋の夜空に、それもちょうどバックスクリーンあたりに大きな満月が浮かぶという、2年ぶりの開催を祝うような粋なシチュエーションが用意された。そして試合を決めたのは、まるでその月に向かって打ったかのような阿部の2点タイムリーだ。

昨日まで高橋が打っていた5番に抜擢された阿部は、ヒーローインタビューで「周平の代わりは出来ないけど少しでも貢献したい」と殊勝に語った。確かに高橋の穴埋めは誰にもできるものじゃない。だが、今夜のように阿部や堂上といった代役が我こそはと競争を繰り広げれば、マイナスをゼロにすることはできなくても、ゼロに近づけることはできるはずだ。

 

高橋離脱でへこんでいた私も、必死にプレーする選手たちの姿には素直に心を突き動かされたし、一瞬でも試合を見たくないと思ったことが恥ずかしい。

試合後、与田監督は力強くこう言い切った。「起きたことは仕方がない。また新たな競争が始まればいい」。本当に強いチームは、主軸が一人くらい抜けても代わりのヒーローが出てくるものだ。とりあえず7連勝。されど真価が問われるのはここからだ。