ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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流れに泣く

●5-6x(26勝35敗)

 

あまりに痛すぎる、まさかの敗戦だった。

9回表の福田の2点タイムリーで勝利を確信し、あとは3タテ(正確には3タテとは負けた側の表現らしいが、だからと言って“3連勝”ではニュアンスが伝わらないので当ブログでは勝利チームの側も3タテという言葉を使う)を穏やかな気持ちで見守るだけだと思っていたのに、頼みのライデルがまさかの3失点ときた。ありとあらゆるパターンを駆使して負ける最近の負け方の中でも精神的なショックという面ではトップクラスに最悪な内容だろう。

途中までは両軍の譲り合いが続き、特にオリックスの草野球並みのプレーを上から目線で笑っていた方も多かったのではないだろうか。ところが7回、先にドラゴンズが3点を先取したところから膠着していた試合は一気に動き出す。いちいち得点経過を振り返る気もないが、全ての発端は無死から山井がロメロに許したホームランだった。ここから打線が繋がってたちまち同点に。

そして9回、福田のタイムリーで再び2点差を付けるも、その裏先頭の大城が出た時点で流れは明らかにオリックスに移った。一度流れが発動すると、もはや人力ではどうにもならない。雨雲から降り注ぐ雨を止める手立てが無いように、流れというものは基本的に身を任せるしかないのだ。

こうなると、もうライデルもストライクが入らない。ポンポンと追い込んでも、なぜか最後が決まらず四球を出す。3連投の疲れもあるにせよ、それでもストレートは最速154キロを記録した。しかもまだ2点差。冷静に考えればそう投げ急ぐ場面でも無いのだが、切迫した雰囲気がライデルの手元を狂わせる。流れに呑まれたのだ。

 

なんだか分からんけど大城が出塁した瞬間に結末が見えたし、7回も追いつかれる予感しか無かったぞ

 

観客、さらに視聴者も一緒に流れに呑み込まれる不思議な試合だったね

 

確実に“流れ”は存在する

 

流れというものは統計学的には“無い”らしいのだが、誰がなんと言おうと「流れはある」と断言したい。例え一年間の戦いを平(なら)せば一定の数値に収束するとしても、長年プロ野球を見ていればその存在は否定しようもない。

では今日の場合、どこでオリックスは流れを掴んだのか。大城のヒット?違う。伏見のラッキーヒット?違う。それならロメロのホームラン?それも違う。正解は井端解説員に語ってもらおう。

 

3点もらってから山井投手がホームランを打たれたが、そこからもうひと踏ん張りする前に即交代したため、相手に流れを渡したと思う

解説:井端弘和

東海ラジオ「ガッツナイター」より

 

そう。今日の敗因は山井の代え時のミス。無死のまま代えてしまった事で7回の1イニングを丸々リリーフで凌がなければならず、オリックスから見ればわずか2安打に抑え込まれていた投手を早い段階で代えてくれた事をチャンスと捉えたはずだ。まだ79球。せめてこの回だけは山井に任せても良かったのではないだろうか。なにしろ流れは生き物だ。些細な判断ミスが命取りになる。

究極、監督に最も必要な素質は「流れを読む力」だと思うのだが、与田はまだまだ読みきれていないようだ。