ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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井領はようやっとる

◯6-2(26勝34敗)

 

まさに譲り合いと呼ぶにふさわしい得点拒否バトルは、ある意味で非常に見応えがあった。

特筆すべきは6回の攻防だ。まずは表、ビシエドのツーベースと福田の四球で無死一、二塁とすると、藤井が初球バント失敗からの2球目をバスター。しかしこれがゲッツーとなってしまい、京田も三振に倒れて待望の大チャンスもわずか8球でスリーアウト。こういうちぐはぐな攻撃をした後は大抵痛い目に遭うものだ。普通は。

するとその裏、今度はオリックスがヒットと阿部のファンブルでチャンスを作る。奇しくも表のドラゴンズと同じ無死一、二塁。しかし4番のロメロが初球を叩いてゲッツーに倒れると、中川もあっさりゴロで二者残塁。そっちが8球ならこっちは5球だと言わんばかりの意地の張り合いは、なんだか前衛芸術でも見せられているような訳の分からなさで頭がクラクラしてきた。

 

最下位争いの真髄を見たイニングだったね

 

なぜこの両チームが最下位なのか、よく理解できたぞ

 

井領、ようやく日の目を見る

 

しかしどこまでも続くと思われた壮絶な譲り合いは8回、ドラゴンズの突然の裏切りによりあっという間に決着がついてしまった。

一死満塁、京田のタイムリーまでは前進守備の間を抜く単打という事もあり、まあ想定内。問題はここからで、今年のドラゴンズはあと一押しが足りずに終盤苦しくなる事が非常に多いのだが、だからこそ二死から井領が打ったこの日4安打目となる走者一掃のスリーベースは、相手の戦意を喪失させるには充分な本当に価値のある一打だった。

巷では即戦力外だなんだと言われ、とかくバカにされがちな2015年入団組の一人として悔しい思いも散々してきたはずだ。だが2年目にマイコラスから初本塁打・初打点を記録するなど、時折見せるバッティングセンスからは非凡なものを感じさせる事もあった。「我慢して使えば面白い打者になる」と私だけは思っていたのが、残念ながら去年の首脳陣を含めて大半の人間はそのポテンシャルを見抜けず、井領もいよいよ後がない30歳(数え年)という年齢を迎えてしまった。

 

5年目、飛躍の時

 

だが今年はどういうわけだかキャンプから与田監督の目に留まり、麻疹の治療で降格した期間を除けばなんとか一軍に踏みとどまっている。シーズン50打席以上はもちろんキャリア初。2割前後を行き来していた打率も今日の4安打で一気に2割7分5厘まで上昇し、対戦投手も竹安、海田、近藤と左右を苦にせず打ち分けたのは本人にとっても大きな自信になるはずだ。これでしばらく二軍に行く事もないというのも一軍半の選手にとって何よりの精神安定剤になるかもしれない。

月間MVPを獲得した高橋周平のバットから快音が消えているこの二日間、打線全体が沈黙してもおかしくないこのタイミングでの活躍はチームにも活気をもたらしてくれている。

最後に、私だけが井領の事を買っていたという証拠をお見せしよう。

 

 

9割以上のファンが期待していなかった中、2年前の時点で見る人が見れば井領の打撃センスは一目瞭然だったのだ。鼻高々。