ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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想定内の奇襲

●1-2(24勝33敗)

 

仕事にせよ車の運転にせよ、大抵の事は“可能性の想定”をしておかないと痛い目を見る。例えば就職面接に準備なしで臨んでも、まあよほど弁が立たない限りは落とされるわけで、そうならないためにも学生は企業研究に励んだり、想定問答を用意する。事前に可能性を想定しておけば、不意打ちを食らうリスクを軽減できるからだ。

では今日の決勝点ーー痛恨の1点となった7回表のスクイズは「想定外の奇襲」だったのだろうか。場面を振り返ろう。

先頭の辰巳がツーベースで出塁し、太田が犠打を難なく決めて一死三塁。しかし打者は8番の小郷なので、内野陣は前進守備を敷く。ここまではセオリー通り。初球、小郷はバントの構えで揺さぶりをかけ、低めに外れてボール。2球目は空振りでストライクを取り、3球目は高めに外れてカウント2-1。

①いわゆるバッティングカウントで、②ランナーが俊足の辰巳、③初球でバントの構えを見せた。以上の状況からスクイズの可能性は容易に想定できるが、バッテリーは素直にストライクゾーンで勝負し、みすみす1点を献上してしまった。これが浅村やウィーラーがスクイズを仕掛けたのなら「奇襲」と言えるが、プロ通算3安打の8番打者に対してスクイズを想定していなかったとしたら、あまりにバッテリーの、特に武山の見通しが甘かったと言わざるを得ない。

ネクストサークルに強打のブラッシュが控えていた為、リスクの高いスクイズは無いと踏んだのだろうが、それでも1点勝負の局面で勝手な決め付けは禁物。せめて間を置くとか、ランナーを目で牽制しておくとか、警戒の意思を示しておかなかったのは武山の痛恨のミスである。

 

武山を起用した意味がなくなってしまう

 

若手の育成を最優先とした起用を行ってきた中で、武山と藤井が名を連ねるスタメンは与田監督にとって本意ではないはずだ。それでも借金が膨らみ、背に腹は変えられないという状況でベテランの手を借りたのは、細かいミスの連鎖で試合を落とすような流れをなんとか食い止めたいからに他ならない。

特に捕手は、開幕から半ば強引に正捕手として起用してきた加藤が体力的にも精神的にも限界を迎えつつあり、期待された強肩もリーグ3位の盗塁阻止率3割1分8厘に甘んじている(それでも十分な数字ではあるが)。

いわば武山のスタメン起用は育成を一旦脇に置いてでも確実に勝ちを取りに行くための方策であり、その武山が8番打者の新人にスクイズを許すなどというのは、チームにとって何ひとつ利益をもたらさない言語道断のミスだ。

 

今さら武山が「そうか、この場面ではスクイズもあるのか!次から気を付けよう!」と反省したところでな

 

そういうミスをしないのがベテランの頼もしさだと誰もが思ってて、そこを期待して使ってるのに、電話出て相手の確認を怠るような新社会人みたいなミスをベテランがやっても白い目で見られるだけだぞ