ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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鷹、虐殺す。

●4-6(23勝30敗)

 

能ある鷹は爪を隠すと言うが、それはあくまで獲物が強者だった場合であり、貧弱な獲物に対しては最初から殺す気満々で爪剥き出しにして襲ってくるんだなと。妙に納得しながら目の前で起きている惨状を呆然と眺めるしかない、そんな地獄の交流戦が今年も始まってしまった。

まあ予想は出来ていたが、それにしても序盤の一方的なやられっぷりはほとんど虐殺。ジェノサイドだった。交流戦の開幕投手としては場違いも甚だしい阿知羅がヨーイドンで3発のホームランを浴びると、4回には二死から出塁した甲斐が完全に無警戒の中で盗塁を決め、続く川瀬がタイムリーを放つという惚れ惚れするような攻撃。8,9番でこんな点の取り方をされたらもうお手上げ。戦前、「甲斐キャノンと加藤バズーカの直接対決だ!」とか言ってはしゃいでいたのが本当に恥ずかしい。

さらに死にかけの弱者に対しても一向に手を緩めない先様は、なんやかんやで1点差になった7回、今度はデスパイネのタイムリーで抜かりなくダメを押し、危なげなく勝利を収めたのだった。かたや我が軍はレベルの違いをまざまざと見せつけられた挙句、今季最多の借金7を抱えて途方に暮れるのであった。

 

えーっと……どうすんの、これ

 

ふはは、地獄はまだ始まったばかりだぞ

 

あんなこといいな、できたらいいな

 

日ごろ、試合を観る中でドラゴンズに対して「あんなこといいな」「できたらいいな」と望んでいる事をホークスは全て実現していた。

上述の機動力を生かした下位打線での得点もそう、デスパイネの追加点もそう、投げる方でもリリーフが無駄な四球を与えたりせず、先頭はしっかり打ち取って反撃の芽を摘む。いつもドラゴンズがやりたくても出来ない野球をまさに体現しており、そりゃ強いはずだよと感心するしかなかった。

特に大きいのが4回に飛び出した釜元の今日2本目のホームラン。初回に幸先よく3点を先取し、そろそろ追加点が欲しいなというタイミングで見事にああやって点が入る。普段、追加点が取れずにじりじりとプレッシャーをかけられ、遂に終盤に決壊するパターンに見慣れているドラゴンズファンとしては「なんでそんな簡単に点が取れるんだよ」と思わずつぶやいてしまいたくなるような、本当に見事な強さを感じた。

 

勝者のメンタリティー

 

もっと言えば6回、堂上が満塁ホームランを放ち1点差に迫った場面。あれ、逆の立場だったらどう感じるものかと妄想してみたのだが、まあ間違いなくドラゴンズなら逆転負けを覚悟すると思う。何しろ先に5点をリードしながら中盤にあっという間に1点差に縮まり、残り3イニングで逃げ切らなければいけないのだ。もう、このプレッシャーに耐えきれずに小熊や鈴木博が死んだ顔しながら四球を出して追い詰められる姿が目に浮かぶ。ついこないだ、土曜日の巨人戦なんかはまさにそんな感じの逆転負けだった。

ところがホークスは違う。たぶん彼らは堂上が満塁ホームランを打った直後でも、一瞬たりとも敗北という二文字を思い浮かべる事は無かったはずだ。

“勝つに決まってる。最後に勝つのは俺たちだ”

選手全員、ファン全員がそう信じてるからこそ、ダメ押しタイムリーだって出るし、リリーフが無駄な四球を出す事もない。いわゆる勝者のメンタリティーである。一方で負け犬根性が骨の髄まで染み込んだドラゴンズファンは、「負けたけど堂上の満塁ホームランは感動した!」「加藤も盗塁を2個刺した!」などと数少ないポジ要素を挙げて必死に慰め合うのであった。合掌。