ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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一軍に慣れるという事

●1-2(22勝26敗)

 

今年からイレブンスポーツというサイトでファームの試合がほぼ全試合、生中継で配信されるようになった。これまでは現地に足を運ばない限り映像を見る事など出来なかった二軍戦がいつでもどこでも生視聴できるなんて本当に夢のような時代になったものだ。

 

根尾君の打席を昼休みに見るのが日課になってるファンも多いんじゃないかな

 

二軍の意味とは

 

私も時間が許す限りBGM的に垂れ流しているのだが、毎日見るうちに段々と感じ始めた事がある。それは、“二軍の試合って本当に実のある経験になるのか?”という身もふたもない疑問である。

昼に二軍戦を見て、夜に一軍の試合を見るとあまりの雰囲気の違いに驚かされる。一球の緊張感、一打の持つ意味。何から何まで違いすぎて、同じスポーツだとはにわかに信じがたいほどだ。二軍戦は牧歌的な雰囲気が漂っており、どちらかと言えばプロ野球というよりも草野球に近いかもしれない。どんなにチャンスであろうとピンチであろうと手に汗握るという事は滅多にないし、試合も淡々と進んでいく。二軍で負けて心底悔しがるファンがそうはいないように、きっと選手も勝利への貪欲さは一軍のそれと比べたら雲泥の差があるのだろう。

だから思う。真っ昼間に鳴り物応援もなく、そこまで勝利を求めているわけでもない、一軍とはまるで異なる環境でプレーして、果たしてどこまでそれを糧として活かす事ができるのだろうか。二軍で猛打賞を記録した、二軍でサヨナラ打を打った。そんな評判を引っさげて意気揚々と昇格するも、結局からっきし通用しなかった選手をどれだけ見てきた事か。去年までは「なんでだろう?」という思いを抱いていたが、イレブンスポーツのある今なら「そりゃそうだろうな」と思えてしまう。非常に残酷な話ではあるが。

 

井領と渡辺、チャンスで三振を喫す

 

そして今日、井領と渡辺が上がってきた。麻疹の井領はともかく、渡辺は前回の抹消からわずか3週間。二軍で格の違いを見せつけての再昇格だ。

その二人に今日、いきなりヒーローになるチャンスが訪れた。10回裏、ランナー二塁。走者が俊足の遠藤なので当たりによっては一打でサヨナラを決める事ができるビッグチャンスだ。まずは代打で井領が登場。フルカウントまで粘るも、変化球にタイミング合わず空振り三振。二死となって前の打席、代打でツーベースを打った渡辺が打席に入る。カウント2-2からの5球目、速球に力負けして空振り三振。

今日昇格したばかりの期待の二人が連続三振では勝ち目はない。しかも相手は防御率5点台の三嶋だ。失礼を承知で書くが、三嶋程度の投手なら二軍でも対戦する機会はあったはずだ。ところが二軍では気持ちよく安打を飛ばしていた井領と渡辺が、一軍となると三嶋にさえまるで通用しない。二軍の限界をまざまざと見せつけられた気がした。

 

打てるまで使い続けて欲しい

 

早い話が二人とも一軍の雰囲気に慣れていないのだ。上述したように、素人目に見ても一軍と二軍の雰囲気は全く違うものがある。単純な実力だけでいえば井領も渡辺も一軍でやっていけるだけのものは持っていると思うので、あとは今日のような機会をどんどん与えて一軍の戦いに慣れさせていくしかないだろう。

これまでのドラゴンズは一軍で結果を残せなければ二軍へ落とすという方法で長年育成を行ってきたが、残念ながら成果は出ていない。試行すべきはむしろ逆で、二軍で問題なく打てるようになった選手はさっさと昇格させてガンガン実戦に投入し、一軍の経験値を積ませる事が覚醒への最短距離なのだと思う。年齢的にも今さら井領と渡辺を二軍に落としたところで学ぶ事はもう無い。ならば打てるまで一軍でチャンスを与え続ければいいじゃないか。

もし明日、同じシチュエーションが訪れたら、私なら迷いなく井領と渡辺を打席に送り出すだろう。育成とは我慢だ。来年、再来年への投資と考えて、喜んでこの二人の凡退を目に刻んでやろう。