ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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笑顔に負ける

●3-7(15勝20敗)

 

笑顔で歌をうたう人が苦手だ。ミスチルの桜井和寿、ゆずの北川悠仁など。楽しい歌をうたう時に自然と笑顔が浮かぶのはとても素晴らしいことだとは思うのだが、ひねくれ者の私はそこに違和感というかむず痒さを覚えてしまう。もちろん彼らの歌そのものは最高だし、むしろアーティストとしては好きな部類だ。それでもライブで、テレビで、満面の笑みを浮かべて歌う姿を見ると「あー!あー!」と言いたくなる。やめろ、口角を上げるな、菩薩のように穏やかに目尻を下げるな。

1994年の大ヒット曲「イノセントワールド」は歌詞を読めば分かるように、汚れた世界に嫌気がさした擦(す)れた大人が、ありもしない純粋な世界に行けたらいいなと夢想するという退廃的な内容だ。この歌が世に出た当初は20そこそこの桜井が物憂げな表情で歌うからこそ心に響いたものだが、いつからかライブでは桜井が満面の笑みでステージを駆け走りながら、客席に合唱を煽るという極めて平和ボケな、それこそありもしない純粋な世界、悪く言えば嘘くささ、胡散臭さが漂う歌へと変貌を遂げてしまった。

たまに歌番組であのライブの映像が流れるたびに、私の中の村上隆行コーチがこう叫ぶのだ。

“ヘラヘラしてんじゃねえぞ!”と。

 

西、リベンジの笑顔投法

 

前回対戦した27日、ナゴヤドームでは攻略した西勇輝に甲子園で返り討ちに遭った。しかも、以前吉見がやられた時と同じように、猛攻の起点となったのは西のバットだ。もちろん今日の又吉は西がどうこうという以前の出来だったが、それでも2死から浴びた西の安打を契機にドツボにはまったのは確かである。

そして今日も西は終始ニコニコしながら中日を手玉に取った。おそらく意識的にいつもより笑顔の量を増やしたのではないだろうか。

というのも2週間前の27日、元々そういうプレースタイルなのだろうが、笑みを浮かべてプレーする西の姿に村上コーチは“ナメられてる”と感じ、ブチギレながら打線の奮起を促したのだという。あの試合ではそこから一気に逆転したわけだが、翌朝の中スポに掲載されたその話を西本人がどこかで耳に入れた可能性は高い。今日の西はリベンジとばかりに終始笑顔を絶やさず、村上コーチをあざ笑うかのような好投をみせた。

眩いばかりの笑顔はまるで高校球児を見ているかのようで、敗北の直後に映った陰鬱とした中日ベンチとは対照的な阪神ベンチの西と矢野監督の楽しそうな表情が実に印象的だった。

今日の敗戦で借金は今季最多の5。シーズンの4分の1を迎えて早くもファンの間には終戦ムードが漂い始めた。おまけに怪我人続出というつらく悲しい現実。誰かイノセントワールドに連れてってよ。