ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ロメロ、セルゲームで遊ぶ

●3-9(13勝15敗)

 

今日のロメロは間違いなく調子が良かった。5回6失点という結果だけ見れば到底信じてはもらえないだろうが、毎回のようにランナーを出しながら要所を締めて7回無失点に抑えた先週の広島戦と比べても、むしろ今日の方が乗っていたようにさえ感じる。

だが、それゆえに油断が生じたというか。自分自身の投球に酔いしれたところを巨人打線は見逃さなかった。ジェットコースターのように一気に5点を失った5回に目が向きがちだが、今日のポイントはその前の回、4回の攻防にある。

 

おそらくロメロはゲレーロをナメていた

 

4回表、序盤から得意のカーブの制球に苦労していたヤングマンを2巡目のドラゴンズ打線が捕まえた。阿部のタイムリーで1点を先制し、なおも2死一、二塁。打つ気満々のロメロに対し、必要以上に警戒したヤングマンが四球を与えてしまう。この時、ロメロがガッツポーズ代わりにバットを投げ捨てるようにして喜びを表現し、足早に一塁に進んだのを見て相当試合に入れ込んでいるのが見てとれた。

さらに続く平田が2点タイムリーを放つ。これで3点リード。おそらくロメロは久々の援護点で一気に解放された気分になったのだろう。その裏の投球は、まさに圧巻。岡本に対してはスライダーでカウントを取って速球で詰まらせ、逆に陽岱鋼はストレートを見せたあとにスライダーを振らせて簡単に2アウト。思い通りに打者を手玉に取る姿は、楽しんでいるかのようにさえ見えた。

続くゲレーロもロメロにとってはオモチャでしかない。ここまで投球の8割近くを占めるストレートではなく、一転してスライダーを連投し、見事にタイミングを外されて空振りをする哀れなゲレーロ。カウント1-2。最後は高めの釣り球でも放っておけば三振が取れたであろうに、ロメロはボールゾーンからストライクゾーンに入るスライダーを選択し、あっという間に打球はスタンドに吸い込まれた。

おそらくロメロはゲレーロをナメていた。「2球連続でスライダーに釣られて空振りしたこの穴だらけの打者をストレートで抑え込むのは簡単だけど、どうせなら3球連続スライダーで三振取った方が楽しいじゃん」と、心のどこかで悪魔がそう囁いたのではないだろうか。

3回までは目の前の打者から注意深くアウトを積み重ねることに集中していたロメロが、この回は悦に入るあまり格好良くアウトを取ろうとしてしまった。漫画「ドラゴンボール」で、覚醒した孫悟飯が劣勢のセルに対し、余裕のあまり勝つことよりも楽しんで殺すことを優先して最悪の結果を招いたように。あのとき、父親である孫悟空の「悟飯ー!セルに早くとどめを刺せー!」という必死の訴えを悟飯は聞き入れず、「もうとどめを?まだ早いよおとうさん。あんな奴はもっと苦しめてやらなきゃ」と言ってイタズラに決着を延ばしたように、私の「ロメロー!ゲレーロの弱点は高めの速球だぞー!」という必死の訴えもむなしくロメロは甘いスライダーを低めに投げ込んでしまったのである。

続く5回の悲劇は決して唐突に起きたわけではなく、4回のゲレーロとの対戦で生じた綻(ほころ)びを修正できないままイニングに入ってしまったことが原因であり、強いて言うならば女房役の加藤が一呼吸いれてリズムを戻してやることが必要だったと思うのだが、悟空でも止められなかった悟飯が加藤の言葉で立ち直るかどうかは正直分からない。