ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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“平成最後”で盛り上げようとするG+実況を黙らせる

◯3-1(13勝13敗)

 

前々からこのカードを迎えるのが嫌だったのは、平成と令和を跨ぐ特別なタイミングにあたるからに他ならない。この歴史的な行事を巨人側が殊更に強調してくるのは容易に想像ができたし、案の定というべきか試合前には平成6年10月8日、いわゆる10.8を再現した伝説の三本柱による始球式というドラゴンズ側からすれば不愉快極まりないイベントでもって、“平成最後の試合”を盛り上げてきた。

 

ぐぬぬ、我が軍も今中、山田喜、佐藤秀、野中の豪華始球式で対抗するしか……!

 

あらためてひでえ継投だな

 

当然ながらテレビ中継も鬱陶しいくらいの“平成最後”推し。平成9年生まれの高橋がどうだの、平成8年生まれの岡本がどうだの、平成5年生まれの石川がどうだの。事あるごとに平成、平成。これで巨人が勝った時にゃ「平成最後の!東京ドームは!次の時代を担う!平成生まれのヤングジャイアンツの躍動で!見事な勝利で!節目の日を飾りましたぁぁぁぁぁぁ!!!」とかなんとか言ってジャナウンサー・河村亮が大袈裟に絶叫するのが余裕で脳内再生できるので、とにかく今日の我が軍の勝利は河村アナに対する「ざまあみろ」という気持ちが強く、喜びもひとしおだ。

 

試合は初回に決まった

 

勝因はなんといっても初回に飛び出した伊藤康祐の好守備だ。1死一、二塁で石川慎吾のライナー性の大飛球をジャンピングキャッチ。したかに見えたが、なんと伊藤は一度は壁に跳ね返った打球を素手の右手でカバーする形で落球を阻止し、走者が判断に困っている間に二塁に転送して珍しいレフトゴロを完成させたのである。今まで何千と野球の試合を観てきたが、おそらく初めてお目にかかる超レアなプレーだ。

これが無ければ石川の当たりは2点目のタイムリーとなり、大野雄も流れに呑まれてさらに失点を重ねていたかもしれない。まさに試合を決めたビッグプレーだった。

 

高卒2年目、初出場初スタメンをいきなり先頭打者安打で飾り、さらに直後の守備でこのプレーを決めるとは只者じゃないな

 

鈴木尚広なき原巨人

 

かつての野村克也の名言“勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし”を想起するような、まさに不思議な勝ちだった。ドラゴンズの得点は2回の福田の3ランのみ。それ以外は初回のビシエド併殺打、5回の三振ゲッツーなど相変わらずのちぐはぐな攻撃でいつ流れを持っていかれてもおかしくない展開が続き、終盤に至っては今にも倒れそうなジェンガをギリギリで保つような緊張感が漂っていた。

8回のビヤヌエバの大飛球を丸が見誤ってゲッツーとなった場面などは平田のトリックプレーと言えば聞こえは良いが、どちらかといえば丸のちょんぼであり、運が良かったというのが正しいだろう。

さらに9回のピンチも原の采配に助けられた面が強い。まず鈴木博が先頭の亀井に13球粘られた挙句に四球を出す。ベテランの粘りで勝ち取ったノーアウトの走者は、サヨナラを狙う巨人ベンチにこれ以上ないほどの勢いを生みかねない。2点差ありながらも負けを覚悟したのは私だけではないだろう。

ここから巨人は有り余る戦力を見せつけるように怒涛の代打攻勢を繰り出す。大城、阿部、ゲレーロ。代打層の薄さに悩むドラゴンズを嘲笑うかのような豪華すぎるメンバーも、思いのほか淡白な攻撃であっさりゲームセット。終わってみれば初回の1点のみで凌ぎ切ったが、なんだか相手が勝手にチャンスを逸してくれたような印象だ。

少なくとも以前の原政権ならこの手の試合は十中八九、どこかのチャンスで逆転していたように思える。なぜなら、以前の巨人には鈴木尚広がいたからだ。今日でいえば8回の丸か9回の亀井に代走で鈴木尚が登場し、プレッシャーに耐えかねた投手の隙につけ込んで一気呵成の攻撃に転じていたところ。

しかし今の巨人は先頭を出して動揺している鈴木博に対しても特に代走を出して揺さぶるでもなく、一発狙いの代打を送るのみ。むしろ鈴木博からすれば小技の可能性がある山本や炭谷よりも、阿部とゲレーロの方が目の前の勝負に集中できるため切り替えやすかったのではないだろうか。

トラウマだらけの東京ドームの9回を僅差で逃げ切り、再び5割に戻して令和の戦いに臨むドラゴンズ。ちなみに河村アナがドラゴンズの勝利の瞬間にも「平成最後の!東京ドームは!次の時代を担う!平成生まれの若竜たちの躍動で!見事な勝利で!節目の日を飾りましたぁぁぁぁぁぁ!!!」とは叫ばず、淡々と締めくくったのは言うまでもない。