ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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野球偏差値Fランク

●2-4(12勝12敗)

 

元カープの新井貴浩氏は新人の頃、当時の大下剛史ヘッドコーチに“2軍の10打席より1軍の1打席の方が経験になる”と教えられたそうだ。確かにその通りだと思う。

今年からイレブンスポーツで2軍試合の大半が生配信されるようになったが、昼間にこちらを観たあとに夜の1軍試合を観ると、別のスポーツかと思うほど緊迫感に差があるのがよく分かる。あくまで2軍は体力づくりと基礎力づくりの場でしかなく、それ以上のことは1軍の場数を踏まなければ絶対に身につかないであろうことは、平和で穏やかな2軍の試合を観れば一目瞭然だ。

今年からドラゴンズは根尾という金の卵を預かっているが、1年目は本人も言うように土台づくりに専念し、2年目以降は多少の欠点には目をつむって1軍の舞台で実戦投入していかなければ育つものも育たなくなると思う。

こういうことを言うと必ず「ポジションは競争で奪い取るもの!特別扱いはよくない!」と一見正論に思える平等思想を唱え始めるOBや評論家が出てくるが、見込みのある選手にはある程度の特別待遇を与えることも必要なのではないだろうか。少なくとも2軍で無意味に何百打席も立たせるより1軍で貴重な1打席を経験し、本気で喜んだり悔しがったりする方が遥かに豊かな経験値を稼げるだろう。

 

流れをぶった切った井領の空振り

 

835打席。これは井領雅貴が入団以来、2軍の公式戦で立った4年間の打席数である。

2点ビハインドの9回裏、マウンドに上がったのはクローザー・ドリス。今季ここまで自責点0を続ける難敵だが、ドラゴンズにとっては昨年も甲子園で打ち崩しており、苦手意識はない相手だ。先頭の井領の役割は、とにかく出塁すること。後続には平田、京田、大島と上位打線が控えるため、出塁さえすれば何が起きてもおかしくないというムードになる。

するとドリスは1,2球と明らかなボール球を放り、今季最多の観客で膨らんだスタンドがにわかに色めき立つ。3球目。今度は投げた瞬間それと分かるワンバウンドのボール球だ。「これでカウント3-0。四球の可能性が極めて高くなった。一気に逆転サヨナラだ!」ドリスの指先から離れたボールがベース板の手前で弾むまでの0.4秒ほどの間に皮算用が働く。

だがその刹那、信じられない光景が目に飛び込んできた。なんと井領がワンバウンドのボール球を空振りしたのだ。唖然とするとはまさにこのこと。追い込まれているならともかく、圧倒的に打者有利なカウントで、例え球審がよそ見をしていても間違いないようなThis is ボール球とも言うべきワンバウンドを空振りして、わざわざドリスを助ける意味とは一体何なのだろうか。意味がわからない。よほど打てると確信したのか、あるいは井領の野球偏差値がFランク級なのか。いずれにせよ、緊迫した雰囲気の中で相手が一番嫌がるプレイとは何なのかを瞬時に判断する必要がある1軍の試合において、例え2軍で835打席立っても試合の流れを読む力が養われないことがよく分かった。

よく2軍で素晴らしい成績を叩き出す選手が1軍ではからっきりダメなことを「2軍の帝王」と揶揄するが、これは東大合格を目標に掲げていたはずなのに日東駒専やMARCHレベルの演習問題を完璧に解けるようになって満足し、いざ東大の問題を目の当たりにした時にまったく対処できないようなもので、やはり東大を受けるには東大の、1軍で活躍したいなら1軍のレベルというものを肌で感じる必要があるのだ。

 

なんなら2軍の1000打席より1軍の1打席の方が経験になるのかもね

 

木曜日の松井雅人の三邪飛もそうだが、意図がない打席をいかに無くせるかがAクラスを狙うには重要になってくる。ただ凡退して帰ってくるなら誰でもできるからな