ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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9打席連続三振の鵜飼航丞をどう見守っていくのか~太い幹になる過程で~

 野手では日本記録に並ぶ9打席連続三振――。

 先週、鵜飼航丞が樹立した記録である。「樹立してしまった」という方が正しいか。三振は基本「何も起こらない」イベントなので、不名誉なものなのだろう。

 6月8日のロッテ戦から11日の日本ハム戦まで、4試合にわたり築かれた三振の山。筆者も10日と11日は現地で観戦していて、正直打つ気がしなかったというより、バットに当たる気がしなかった。

打撃コーチらの指導が馴染んでいない?

 交流戦に入って、打撃コーチの入れ替えがあったがゆえに生まれてしまった記録だ、というのはよく指摘されている。スイングに迫力が無くなったと指摘する声も大きい。

 事実、鵜飼の交流戦成績は打率.183、1本塁打、OPS.514と同一リーグ相手の数字を下回る。札幌では指揮官や新任の打撃コーチが練習で盛んにアドバイスを送り、ときに見本を示しながら指導する姿も目にしたが、残念ながら結果に結びついていない。

 指導内容が馴染んでいない、本人が心の奥底から納得して取り組めていないまま、三振を喫し続けたと考えるのも一つの仮説だろう。

「6月」という時期に樹立されてしまったこと

 もう一つ、この時期に樹立されてしまったことで思ったのは、疲れの蓄積と実戦感覚だ。

 6月というのは、学生時代は公式戦があまりない時期。高校だと春季大会と夏の地方大会の間、よく強化合宿や招待試合を行うようなタイミングだ。大学だと春のリーグ戦・入れ替え戦が終わり、優勝すれば大学選手権があるものの、多くのチームは実戦機会に乏しい頃合い。ルーキーにとっては、ある種未知の領域で試合に臨む状況といえる。

 また、鵜飼の場合はコロナ陽性からの復帰も影響しているかもしれない。交流戦開幕と同時に1軍復帰していきなり本塁打を放ったが、2週間経ってガス欠を起こした可能性は否定できない。これも一つの仮説だろうか。

いずれは1球で仕留められるスイングを

 4日間の休みを経て、いよいよ公式戦が再開される。

 DH制がなくなり、鵜飼がスタメンで出る可能性は少し減ってしまうか。岡林勇希は確定として、ケガ明けながらも状態を上げる大島洋平、鵜飼と同様に長打が魅力のアリエル・マルティネスとの天秤になりそうだ。

 指揮官が「空振りを恐れずに」と話すように、今年1年は「振って覚える」フェーズなのだと思う。9打席連続三振もその過程で生まれてしまっただけで、一つ間違えば柵越えの恐怖を与えられる打者は今のドラゴンズにおいて貴重。スタメンで出ようと、代打で出ようと、振る姿勢は無くさないでもらいたい。

 地元出身のスラッガーとして、いずれはチームの太い幹になりうる逸材。色々削ぎ落とされたとしても、一発長打の魅力は残しつつ、いずれは1球で仕留められるスイングを身につける日を楽しみにしている。

Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter

 

<参考>

スポーツ報知「【中日】鵜飼航丞9打席連続三振は最強スラッガーへの試練」(6月12日)

https://hochi.news/articles/20220611-OHT1T51277.html?page=1