ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「見たい!」と思わせた投手・根尾昂。ドラゴンズに二刀流スターは生まれるのか?

 投手・根尾昂が話題を呼んでいる。

 21日の広島戦、9点ビハインドの8回裏に登板した背番号7は、1イニングを無失点投球。先頭の坂倉将吾にはヒットを打たれるも、そこから小園海斗、磯村嘉孝、中村健人を立て続けにアウトに仕留めた。直球の最速は150キロ(しかも初球に記録)。スライダーで打者のハーフスイングを誘う場面も見られた。また、打順の綾で「4番ピッチャー根尾」が実現、打席に立つ“おまけ”もあった。

 ファン目線でいえば、大敗かつ連敗の中で少しだけ現実逃避ができたように思う。実際、この日は体調不良で寝込んでいたのだが、ラジオから「根尾がマウンドへ」と一報が流れた瞬間に起き上がり、テレビのある部屋へと移動。幾分か体調が良くなるぐらいのエネルギーをもらった。

 つまり、端的に「見たい!」「見なきゃいけない!」と思わせてくれたのだ。

エキサイティングな毎日も……まさかの一軍登板

 以前、私は根尾について“スーパーユーティリティー(UT)”を目指せ、と書いた。それは「遊撃と外野をメインに、チームの足りないポジションを埋めてくれる存在」という意味でだ。

 今回の一軍昇格は野手陣を襲ったコロナ禍を受けての招集で、外野で出る日もあれば、途中で遊撃に移る日も。課題の打撃では東京ドームで2打席連続適時打を放つなど、練習の成果が出てきたようだ。少しずつではあるが、願っていたことが叶っていく感じがして、毎日がエキサイティングだった。

 そこに来て、今回のマウンドだ。二軍戦では甲子園で投げていたが、片岡篤史二軍監督のコメントを見聞きするに「眠った才能を掘り起こす」意図もあったよう。だから、一軍で投げるのはちょっと違うだろうと。「見たい!」と思ったのは、ワクワク感に加えて半信半疑な部分もあったことを記しておく。

「有り余るポテンシャル」を活かせるか

 ここで打たれずに無失点に抑えるのだから、根尾の投手としての質は高いのだろう。「また見たいな」と思わせるようなピッチングだった。

 今後を考えると、スターターというよりは、リリーフでショートイニングを抑えるほうが想像しやすいか。チーム随一の練習量を誇るというから、投手と野手の練習を並行して行っても、体はそうそう壊れないのだろうか? これはやってみないと分からない。

 根尾の最大の魅力は「有り余るポテンシャル」。どういう選手になっていくか想像がつかないところだ。プロ野球選手ともなると、誰もがある程度の専門性を身につけ、アマ時代からのスカウティングレポートを通じて将来像も見えてくる。それが全然見えないからこそ面白いし、反面、“自分探し”を続けすぎて野球人生が閉ざされかねない危うさもある。だからこそ、見守る価値のある選手だと思う。

 本人はもちろん、首脳陣も才能を活かす道を見つけようと苦心しているのは伝わってくる。ドラゴンズ史上に残るスターはこのまま二刀流の道を歩むのか、それとも――。

Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter