ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

THE FIRST TAKE

 昨年11月5日。祖父江大輔のスライダーに打者のバットが空を切ったその瞬間、球団史上最悪の7年連続Bクラスに終止符が打たれた。長いトンネルを抜けた感慨は想像していたよりも遥かに深く、まるで優勝したかのように大喜びしたのがついこないだの事のようだ。

 若いファンにとって、そして多くの選手達にとっても初めて経験するAクラス。今までは漠然とした目標として追いかけていたモノが、今度は死守しなくてはいけないノルマとなって立ちはだかることになる。

 もちろんAクラスさえ死守できればバンザイ、ではなく目指すべきは更に上。「優勝」という、去年までなら口にするのも憚(はばか)られるような栄冠を本気で目指す戦いが、早くも明日から始まる。

 

本気で優勝を狙うシーズン

 エース大野雄大は、残留した理由を「このチームメート、チームが大好きなので勝利を分かち合いたい。球団への恩返し、ファンへの恩返しもまだできていない。優勝してファンの皆さんと一緒に泣きたい」と語り、流出を覚悟していた全国のドラファンに熱い感動を与えてくれた。

 またキャプテン高橋周平も「優勝するのが目標。それに向かっていくしかない」と寡黙ながら力強く答えている。プロの中のプロ・大島洋平に至っては、「ソフトバンクを倒して日本一になれるように、全員で頑張っていきたいと思う」とリーグ制覇のその先まで見据えているのだから頼もしい。

 選手だけではない。チームを預かる与田監督は先日の熱田神宮での必勝祈願の際に「優勝しなければいけないという責任をすごく感じている」と並々ならぬ決意を口にした。3年契約の3年目。いわば額に拳銃を突き付けられながらの戦いになる。

 男気あふれる人柄はファンからの支持も厚く、理想の上司との評価もちらほら見かける。だが一旦シーズンに入ってしまえば問われるのは結果のみ。昨季、序盤でつまずいた時のように、ちょっとでも負けが混むような展開になればたちまち「解任」の二文字が忍び寄るのは避けられないだろう。

 厳しいプロの世界だ。契約を更新できる監督はひと握りだけ。現にこの40年間でドラゴンズを率いた監督のうち、契約を更新できたのは星野仙一、高木守道(第一期)、落合博満の三人だけしかいない。

 与田監督も就任2年でAクラスに導いたとはいえ、5位と3位では特筆すべき成績とも言い難く、まだ今季の成績次第でどちらにも転ぶ可能性がある。

 沢村賞エースの残留という最大の補強に成功したチームにとっても、そしてまた与田政権にとっても今季は絶対に勝たねばならないシーズンとなる。

 

 本気で優勝を狙うからこそ、感情の振り幅も大きくなりそうだ。果たして明日の今頃、ドラファンはどんなキモチで試合後の夜を過ごしているのだろうか。

 一瞬一瞬のプレーに一喜一憂。全球、全対戦が一発撮り。熱く激しいグラウンド上の “THE FIRST TAKE” が今年も幕を開けるーー。

 

※選手、監督コメント引用

「中日スポーツ」「東海テレビNEWS」「メ~テレニュース」

 

【お知らせ】

毎年全試合のコラム更新を掲げている「ちうにちを考える」ですが、私、木俣はようやっとるの多忙のため今季は仲間たちとの4人ローテ体制で執筆していく事になりました。

4人4色で綴る新しい「ちうにちを考える」にご期待ください。