ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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13分間の験担ぎ

◯3-1(64勝69敗2分)

 

2時間59分のうち、ドラゴンズが押していたのはわずか13分間。ここしかないというただ一度のチャンスで一気に試合を決めてみせた。

 

6回まで髙橋優貴の前にノーヒット。過去2回の対戦ではいずれも黒星を付けた得意な投手のはずが、今日は序盤から術中にはまった。外角にはスクリューを、内角にはストレートを基本線とする緩急織り交ぜた配球に手も足も出ず、気づけば終盤3イニングを残すのみ。

正直言って、かなり嫌な予感はした。大野雄大が達成したばかりというのが逆に伏線というか、フラグになってしまい、他球団ファンから盛大に笑い者にされる未来を想像して陰鬱とした気分にもなったし、何より相手は優勝に向けてひた走るチームだ。

1999年や2006年のドラゴンズがそうであったように、優勝前のチームにはとんでもないドラマが起こるものだ。ルーキーがノーヒットノーランなどという滅多にも無いことが起こってしまうとしたら、まさに今なのである。

そしてこちら側の選手層にも問題がある。6回裏、ノーヒットを打破すべく登場した代打が三ツ俣大樹と加藤匠馬という時点で頭を抱えたのは私だけではないだろう。かたや巨人はゲレーロ、石川慎吾、陽岱鋼、さらには坂本勇人までもがベンチに控える巨大艦隊っぷり。こちとら最大攻撃力を誇る代打の切り札がレストランオーナー兼務の藤井淳志なのだから、選手層の差は歴然も歴然だ。

案の定、この代打攻勢(と呼べる代物なのかは置いておいて)では記録を阻止することはできず、望みはクリーンアップから始まる7回裏に託された。

 

ささやかな験担ぎ

 

ここまで来たらあとは神頼み。もし記録を達成されたら、どんな心持ちでダメージを和らげようか。音楽を聴きながら通勤電車の中であれこれ思考を巡らせていた、まさにその時だった。イヤフォンから流れてきた曲は「仮面ライダー555」の主題歌『Justiφ's』。テンションがブチあがるイントロを聴いた瞬間、流れが変わるのを確かに感じた。

すると先頭の福田永将のキレイな打球がレフト前へ抜けていく。チーム安打数が「1」に変わったのを確認し、ドッと体の芯から魂が抜けるのを感じた。「よかった、本当によかった」。1点ビハインドという現実もしばし忘れ、ようやく1本出ただけのヒットに満足しきっていると、不思議なもので今度はビシエドのどん詰まりの当たりが野手の前にポテンと落ちる。たちまちチャンス到来だ。

終わろうとする『Justiφ's』を慌てて頭に戻し、2周目。高橋周平が慣れない犠打を見事に決めると、夢潰えた髙橋がマウンドを降り、大竹寛にスイッチ。3周目。阿部寿樹が定位置に下がっていたショート前にきっちりボテボテのゴロを転がして同点に追いつくと、今度は田口麗斗が登場。4周目。大島洋平が3球目の変化球を振り抜くと、打球はたちまちライトスタンド最前列に突き刺さった。

3分44秒の『Justiφ's』をリピートすることちょうど4周。13分間の鮮やかな攻撃で一気に形成逆転に成功した裏に、私のささやかな験担ぎが存在したことをここに記しておく。

 

やるよね〜、験担ぎ。きっと全国の何百、何千ってファンがこんな事してるんだろうね

 

たまたま流れたのが中森明菜の「難破船」とかじゃなくてよかったな……