ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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導かれし零封リレー

◯3-2(61勝66敗2分)

 

いつか勝つだろうと思いながらも、過去には1976年の後楽園球場のようなことが実際にあったわけで。本当にこのまま未勝利のままシーズンを終えてしまうのではないだろうか、そんな不吉な予感が脳裏をよぎるたびに消し。さながら“ちぎっては投げ”の松本幸行ばりによぎっては消し、よぎっては消しを繰り返しながら、今夜も18時のプレイボールを迎えてしまった。

しかし、またしても先取点はカープに転がり込む。内容も悪い。初回から暴投と野選で1点献上では、どうぞ勝ってくださいと言っているようなもの。一方のドラゴンズは盗塁失敗にバント失敗と、金縛りにでもあったかのような拙攻を序盤から重ね、そんな事をしている間にさらに2点目を取られてしまう。

「ああ、今日もダメか」。そう思いかけた5回表、与田監督は勝負に打って出た。一死二塁、小笠原慎之介のところで堂上直倫を代打に送ったのである。確かに最低でも1点は返したい場面ではあるが、一方で小笠原を4回で降ろすのはいくらなんでも早すぎる。

2点は取られたものの6三振を奪うなど小笠原の調子自体は悪くなく、直前の4回裏もわずか9球で三者凡退に抑えたばかりだ。その投手を代えてまで目先の勝利にこだわる与田の執念と言えば聞こえはいいが、ともすれば高木守道よろしく「もう我慢できん!」的な直情的な采配にも映りかねない。

 

結局堂上は凡退に終わるも、二死二塁からようやっと上位打線が繋がり同点に追いつき、試合は振り出しに戻った。

だが喜びもつかの間、守備イニングはあと5回も残っているのだ。早々と先発投手を降ろした以上、あとは小刻みな継投で踏ん張るしかなく、一人でも乱調の投手がいれば負けに直結するという、気が滅入るようなリレーを敢えて選んだ与田は相当に肝が座った男である。

 

零封リレーを導いた加藤の存在

 

ご存知のように結果としては10回まで1イニングずつ、合計6人のリリーフ投手がスコアボードに「0」を刻み続けて勝利を収めたこの試合。

殊勲打の京田陽太はもちろんのこと、先に1点取った方が勝つというようなピリピリした状況のなかで最高の仕事をしてみせた6人のリリーフ投手全員をヒーローとして讃えたいと思うが、忘れちゃいけないのは最初から最後までマスクを被り続けた加藤匠馬の存在である。

7回裏は自身の捕逸もあって一死三塁、8回裏には一死一、三塁という大ピンチを背負うも、丁寧なリードで福敬登、R.マルティネスを導き、いずれも無失点に切り抜けたのは恐れ入った。思えばシーズン序盤はパスボールが許されない場面で落ちる球を要求できずに痛い目に遭うなんてこともあったが、半年経ってすっかり一人前の捕手に成長した姿を見せてくれた。

 

打者・加藤の特筆すべき成績

 

そして加藤といえば打者としてのある優れた成績にも着目したい。と言っても2割2分9厘という想定外に高い打率のことではなく、8番打者として試みる機会も多い犠打に関する成績である。

今日も9回表にきっちり2球で犠打を決めた加藤であるが、実は今季犠打を仕掛けるのはこれが11回目で、なんと11回目の成功。つまり加藤は犠打成功率100%を誇る数少ない選手の一人なのだ。

ちなみにセ・リーグで10個以上の犠打を記録している選手は14人いるが、その中で成功率100%は菊池涼介(22個)、大和(10個)、堂上直倫(11個)、そして加藤の4人しかいない事からも、その稀少性がお分かりになるだろう。

 

加藤がバントの構えを見せたら、とりあえず成功すると思っていいんだね

 

そしてこんなところにも顔を出す堂上の素晴らしきユーティリティっぷりよ

 

ここぞのチャンスに滅法弱い以外は本当に使い勝手のいい選手だわね、堂上は