ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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呪いを解く

はじめに、昨日の記事で何気なく出した「八本柱の竜の城」というフレーズご存知でない方もたくさんいらっしゃると思うので、まずはそちらを補足しておきたい。

 

ドラカルト

「八本柱の竜の城」とは、『燃えよドラゴンズ!'99』の歌詞に登場するフレーズである。

“♪野口は揺るがず勝ちを取り 山本昌は胸を張り 川上憲伸風を切り武田に男の炎あり (省略)いつでもサムソン信じてる 今でも今中愛してる 鶴田門倉 君がいて八本柱の竜の城 いいぞがんばれ! ドラゴンズ! 燃えよドラゴンズ!!”

この8人により形成される無敵のローテを指すが、実際には鶴田泰はこの年わずか6試合21イニングしか投げておらず、今中慎二に至っては5試合8イニングという無残な成績に終わっている。あくまで作者・山本正之の描いた理想なのだ。

 

◯8-3(59勝65敗2分)

 

意識しないつもりでも、こう蹴つまずけば嫌でも過敏にならざるを得ない。7月7日に9勝をあげてから、足踏みすること実に7度。柳裕也が8度目のチャレンジにしてようやく白星を挙げ、念願の10勝目に到達した。

この2ヶ月間はまさに苦悶の日々だったに違いない。勝ちが付かなかった7度のうち、QSは3回、HQSも2回記録した。つまり負けるべくして負けたのは残りの2回だけ。それでも打線との兼ね合い等が絶妙に噛み合わず、勝利の女神にフラれ続けた。

とは言え必ずしも運が悪かっただけではない。8月2日のヤクルト戦を除く全ての試合で序盤に先制点を献上しており、自ら試合の流れを手放してきたのだ。

そして今日も、やはり柳は同じ失敗を繰り返した。しかも初回、二死からの2被弾という最悪の形で。4連勝中のチームの流れにも乗り損ね、またしても足踏みを続けてしまうのかーー。

 

呪いの解き方

 

思えば苦難の始まりもベイスターズ戦だった。オールスターを挟んで後半戦の初登板となった7月19日。チームは8連勝の真っ只中。エースで10年ぶりの9連勝だと意気込んで臨んだこの試合、柳は初回にロペスに3ランを打たれてしまう。それでもすぐに立ち直り、結局7回3失点に食い止めたのだが、その後はまるで呪いにでもかかったかのようにこの試合と同じような負け方を繰り返した。

しかし呪いは今日、あっけなく解けた。「ロペスにかけられた呪いはロペスで解く」。まるでホラー映画の主人公が、問題を解決すべく悲劇の発端となった場所へラストで再び乗り込むかのように、あの7月19日と同じく初回にロペスにホームランを打たれたことによって柳を苦しめていた呪いは解除されたのである……なんてことは無いのだろうが、似たようなシチュエーションに不思議な因果を感じたのは私だけだろうか。

 

今シーズンの登板はあと2回

 

今日はたまたま味方打線に救われたが、それでも先制点を与える癖と一発病は克服できぬまま。相手が好投手なら8度目の足踏みになっていた可能性は高く、そういう意味では二桁勝利への意識を払拭して迎える次回の登板は柳の真価を測る上で要注目だ。

おそらく今シーズンの登板はあと2回。果たして10勝が精一杯の投手なのか、あるいは11勝、12勝を挙げて有終の美を飾るのか。柳に消化試合の4文字はない。