ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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マスター、ノッてるね

◯6-4(45勝53敗)

 

今季、想定以上に伸びた選手をあげるなら、投手は柳として打者には阿部を推したい。もちろん成績だけ見れば高橋周平こそが「覚醒」にふさわしいのだが、期待され続けてようやく殻を破った高橋と、まさかレギュラーを勝ち取るなんて誰も予想できなかった阿部とではそもそもの期待値が違う。したがって「想定以上に」という条件をつけるなら、やはり阿部のほうが適切だろう。

振り返れば3月29日、開幕戦のスタメンオーダーに「7番セカンド」で名を連ねた際にはサプライズ起用と言われていたのが懐かしい。入団4年目にして開幕一軍自体が初体験、オープン戦も15試合に出場して27打数7安打の打率2割5分9厘と決して目立った数字を残したわけではない。それでも見る人が見れば分かるという天性の打撃センスは、与田監督に使いたいたいと思わせるだけの魅力に溢れていた。

4月17日には「バーのマスターっぽい」という理由から伊東コーチが「マスター」とあだ名を付けたとの記事がスポニチに掲載され、ファンの間でも浸透。地味で無個性だった無名の選手が、個性派俳優のような風貌と相まって一躍人気選手の仲間入りを果たした。

 

積極打法で相手を追い込む

 

3,4月に3割2分7厘を打ったが、5,6月に急降下。6月半ばには2割4分台まで打率を落とした。だがここで諦めずに起用を続けた首脳陣の我慢強さは評価されるべきだ。7月に入ると再び上昇に転じて月間打率3割6分8厘を記録。そして8月2日の第4打席をもって遂に規定打席に到達してランキング11位に躍り出た。

スイング率69.05%はリーグ8位、一方でボール見極め率70.77%は同28位と、数字だけ見ればどこぞのパワーヒッターかと見紛うような“粗さ”が浮き彫りになる。だが、なんでも振りに行く姿勢は積極性とも言い換えられ、投手からすれば初球から神経を使わなければいけなくなるので緊迫した場面では嫌な相手だろう。

今夜の7回二死満塁からの決勝打も7球粘った末のもの。押し出しを嫌った梅野が根負けして置きに行ったところを素直にセンター前に運んだ、実に阿部らしい打席だったと思う。思えば4月9日、今季初めて阿部がヒーローになった広島戦もやはり同点で迎えた終盤、満塁からのセンター前ヒットが殊勲打になった。このときも8球粘ってフルカウントからの9球目での決着。四球が選べない代わりに見逃し三振も少なく、打てそうな球は全部打ちにいく阿部の積極性は穴が多い分、リターンもデカいのだ。

 

派手さはないが堅実な守備

 

阿部のデータを確認していて意外だったのが守備指標の良さだ。特段「うまい」という印象はなく、どちらかと言えば打力と引き換えにリスク承知で起用しているようなイメージを持っていたが、元を辿れば落合GMは守備力を評価して阿部をスカウトしたのだから、セカンドのUZRが外崎、菊池に次ぐ第3位(3.7)の優秀さだと聞いても驚くべきではない。

 

ちなみにマスターの守備はRngR(守備範囲)は-0.7と広くないけど、DPR(併殺貢献)が12球団トップの3.2だね

 

派手さはないけど堅実。阿部という選手のイメージどおりだな