ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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敵が喜ぶ采配

◯2-1(37勝43敗)

 

野球とは、いかに「相手が嫌がる事をできるか」の勝負である。どんなに優秀な打者でも70%は失敗する競技。黙って見ていても期待どおりの結果が出るはずはなく、細かい部分で揺さぶりをかけて相手にプレッシャーをかけるという作業が非常に大切になってくる。いわゆる“采配”というのは、突き詰めればこれを追求する事なのかもしれない。

さて、この観点でみれば今日の試合、ドラゴンズは2つのポイントで相手に助けてもらった。言いかえれば広島は、2度ほど敵を喜ばせる采配を振るってしまったことになる。

 

1.ジョンソンの降板

 

まずひとつ目は8回裏、好投していたジョンソンをあっさり降板させてくれたことだ。7回97球。内容が内容だけに早すぎる気もするが、中5日であることを考慮すれば当然の判断なのだろう。おそらく内容如何に関わらず100球を目処に降板するのは既定事項だったと思われる。

ただ、広島サイドの事情はどうあれ、ドラゴンズからすればジョンソンが降板した時点で「よっしゃ」「いける」と感じたのは確かだ。あのまま続投されていたらおそらくスルスルと完封負けを喫していたと思う。それほど今日のジョンソンに各打者は手こずっていたし、しかも一番平田から始まる好打順での降板は気持ちを切り替えるには最適のタイミングだった。さすがに連続押し出しで逆転するところまでは予想できなかったが、ジョンソンの降板がガラッと風向きを変えたのは間違いない。

 

2.西川の犠打

 

ふたつ目は9回表、無死一塁での西川の犠打だ。この回からマウンドに上がったR.マルティネスは、若干イラつき始めていた。先頭の菊池に粘られて、なかなか打ち取れなかったからだ。6球目、低めの難しいボールをファウルにされ、武山からの返球をやけ気味にキャッチするマルティネス。続く7球目の真っ直ぐを痛打され、先頭の出塁を許してしまう。

打席には好調の西川。さらに鈴木と続く怖い局面。ファンの脳裏には、先月味わった幾つかの悪夢がフラッシュバックする。絶対に避けたいのは、走者をためて鈴木に回すことだ。ただ、西川はおとといの試合でマルティネスのチェンジアップを芸術的なバッティングで二塁打にしたばかり。おまけにカッカした時のマルティネスは制球が乱れる傾向があり、正直言って嫌な予感しかしなかったので、初球からあっさり犠打を決めてくれたのは心底助かった

あの犠打で怖い西川との対戦が一瞬で終わったばかりか、アウトを一個くれたことによりマルティネスが冷静さを取り戻した。よく岩瀬氏が解説で「まずは一つアウトを取ると落ち着く」と話しているが、まさにその一つ目のアウトをわざわざ献上してくれたのだからありがたい。

もしあの局面、西川が繋いで無死一、三塁にでもなっていたら--。今ごろ私は暗い気分で敗戦の振り返りをしていたことだろう。

 

 

とは言え、いくら流れがよくても平田、大島の連打が無ければその後の逆転も無かっただろうし、9回にしたって鈴木か安部に打たれれば勝利は無かったかもしれない。

常々与田監督が口にしている「選手の頑張りが采配を◯にしてくれる」というやつの逆パターンで、選手の頑張りが相手の采配を×にしてくれた。そんな紙一重の試合だった。

 

8回、黙って立ってりゃ押し出しの5球目に藤井が高めのボール球を全力で空振りしたのは見なかったことにしてやる

 

戦犯になるかどうかも紙一重なんだなぁ……