ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

柳、変身

◯4-2(29勝39敗)

 

毎年、開幕前に気の置けないドラファン仲間と集まって一年間の展望をあれやこれやと議論するのが恒例なのだが(通称・ようやっとる座談会)、先発投手陣の期待値を予想するなかで、今年の柳裕也はせいぜい6〜8勝だろうというのが私を含めた3人の共通見解だった。

プロ初年度が1勝どまりで、2年目の去年が2勝。ややもすればチーム低迷の戦犯の一人として糾弾されてもおかしくない勝負の3年目。柳を覚醒させたのは、最近なにかと話題の“スラッター”という球種だ。大学時代はドロンと曲がるドロップカーブと最速150キロの速球との緩急を持ち味にしていたが、怪我により球速が著しく落ちた事でカーブも通用しなくなり窮地に追い込まれた。

そこで柳は今年から解禁された二段モーションを導入。さらに最大の武器であったカーブの割合を大幅に減らし、替わりに打者の手元で鋭く、大きく変化するスラッターを多投するようになった。今日の投球も113球のうちカーブは僅か14球。6三振のうち4個をスラッターで奪っており、大学時代とは全く違う投手に変身した事が分かる。

もっとも、元々の投球スタイルが通用しなくなったからと言って簡単にモデルチェンジできるほど甘い世界ではなく、この辺りは柳の類い稀なるセンスがあってこそだろうし、さすがは横浜高、明大とエリート道を歩んできた競合ドラ1と言ったところか。

 

若松がチェンジアップに固執して潰れてしまったのとは対照的だね

 

巨人の菅野も大学時代は157キロを投げてたが、プロでは制球重視で敢えて球速を落としてるんだ。従来の自分を捨てる勇気を持つ者が一流になれるんだろうな

 

開幕当初こそ2,3登板に一度は炎上していた為、防御率は3点台に甘んじているが、5勝目をあげた辺りから“抑え方のコツ”を掴んだように安定感が出てきた。早くも8勝目をあげ、並み居る強敵を抑えてハーラー単独トップに立った。見据えるは二桁勝利、そしてエースの座だ。

 

ホームランの効力

 

柳が気持ちよく投げられたのも、初回に飛び出した高橋周平の3ランあってこそだ。昨日まで嫌と言うほど山賊打線に見せつけられたホームランの魅力と威力。特に序盤で3ランや満塁弾が飛び出すと、それだけで試合の主導権をしっかり握れるばかりか、作戦にもゆとりが持てるようになる。

というわけで、今日の勝因は3回の西川のセカンドゴロ。一死三塁からのゴロで1点を失ったが、この時の守備体系は定位置。もしリードが1点ないし0ならば前進守備を敷く形となり、バッテリーも神経を使う事になるが、3点あれば1点を捨てるという選択肢が持てる。野球が点取りゲームである以上、先に点を取っておけばそれだけ優位に試合を進められるのは当たり前。あらためてホームランの効力を、今日は良い意味で思い知った試合だった。