ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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確率に勝つ

◯6-1(20勝25敗)

 

8連敗中のチームとの対戦と聞いて「よっしゃ!それなら勝てるやろ!」と思えるのはまだ野球を見始めて歴が浅いファンである。私も若い頃はそうだった。若いうちは勢いがすべて。連勝が続けばこのまま永久に勝ち続けるんじゃないだろうかという錯覚に陥るし、逆に負けが混むとドン底に突き落とされたような気分になる。

開幕当初、広島カープが死に体だった時、スタンドで悔し涙を流す若い女性ファンの姿をカメラが捉えていたが、あの彼女は今ごろ天にも昇る心地で毎日を楽しんでいる事だろう。若者にとって何よりも大事なのは“今”なのだ。

そして残念ながらその感覚は年を重ねると失ってしまう物でもある。長年プロ野球を中心にした生活を送っていると、何事も確率で計算を立てるようになる。例えば3割打者が3打数無安打で4打席目に立った時、「今日の◯◯は調子悪そうだから打たないだろう」ではなく、「確率的にそろそろ打つはずだ」と考える。もっともこの程度なら必ずしも“長年”見ていなくても普通に考えつく事かも知れないが、年季が入るとこんな感じの計算をありとあらゆる場面で立てる癖が付く。そうなれば立派なプロ野球ジャンキーだ。

だから8連敗中のチームとの対戦は「よっしゃ!それなら勝てるやろ!」ではなく「そろそろ連敗が止まるんじゃないか……」という不安に繋がるし、何なら昨日あたりで連敗止めといてくれよ……とさえ思う。ネットで見かける「連敗爆弾が回ってきた」みたいな表現はまさにこの感覚を的確に言い表している。ちなみに今日の試合前時点でのヤクルトの勝率は4割6分7厘。やっぱりどう考えても確率的にそろそろ止まる時だ。

 

止めなかった勝野

 

だが、そろそろ勝つはずのヤクルトの前に立ちはだかったのがルーキーの勝野昌慶だった。プロ2試合目のマウンドに立った子連れルーキーは、山田、青木、バレンティンなど錚々たる面子が並ぶ打線を相手にしても臆せずストライク先行で攻めた。ただでさえ厄介な神宮であれだけ堂々とした投球ができれば大したものだ。

そういえばキャンプ中の2月下旬、巨人との練習試合に投げる前、マスコミの取材に対して「巨人って誰がいるんですか?」と言い放ったのを思い出した。記事によれば勝野は「プロ野球はほとんど見た事がない」そうで、今日のヤクルト打線も断片的に名前くらいは知っていてもネームバリューにビビるという事が無かったのが幸いしたのかも知れない。

 

ビビって四球を与えて崩れるのが新人にありがちなパターンだが、勝野はそもそもビビるほど選手を知らなかったという事か

 

野球はメンタルのスポーツだからな。そりゃ変な先入観が無いのはプラスに働くわな

 

8連敗vsカード初戦6連敗

 

確率の話に戻そう。そろそろヤクルトも勝ちそうだなと思った一方で、それを言うなら中日もそろそろ連敗が止まる頃だとも考えられた。実はここまで6カード連続で初戦を落としており、やはり確率的にそろそろ勝ってもおかしくないタイミングではあった。

かくして8連敗とカード初戦6連敗の対戦は、中日に軍配が上がった。だがヤクルトも明日負ければ10連敗だ。「一気に勝ち越して5割を目指すぞー!」ではなく「さすがにそろそろヤクルトさんも勝つよなぁ……」とネガティブに考えてしまうのは、やはりプロ野球ジャンキーの性(さが)というものか。