ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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相思相愛(堂上直倫の3年契約を考える)

4月に海外FA権を取得していた堂上直倫内野手(31)が9日、国内FA権を取得した18年オフから3年契約を結んでいたことを明かした。自主練習をしているナゴヤ球場で取材に応じ、「去年から3年契約をしてもらいました。これからもドラゴンズにお世話になります」と明かした。

【中日】4月に海外FA権取得の堂上 実は昨季から3年契約を結んでいた「これからもドラゴンズにお世話になります」 : スポーツ報知

 

ひとまず朗報である。絶対に行使しないだろうと高を括っていても、2015年の高橋聡文のように「出てくときは出てく」のが球界のシビアな定めだ。

特に堂上は今季、キャリア初となる二桁本塁打を記録するなどユーティリティ系サブとしては出色の成績を残し、もし行使すればCランクというお手頃さもあり争奪戦になっていたことが予想される。

今季の活躍によって「一軍半の守備要員」から「一発もある準レギュラー」へと格上げした感のある堂上。年齢的にも若返りを図るチーム方針的にもここからのレギュラー奪取はさすがに難しいだろうが、調子の波の激しい京田陽太のバックアップとして、また根尾昂の良き見本として、今後チーム内で存在感が増すことは間違いない。

 

堂上の3年契約があったから容赦なく亀澤を切れたんだね

 

世間じゃ京田と堂上のポジション争いだと騒いでたが、真の意図は堂上と亀澤のサブ争いだったわけだ

 

長打力で勝った堂上

 

堂上と亀澤恭平。同学年にして、ポジションも同じく内野ユーティリティ。昨年までの4年間は堂上がレギュラーとして131試合に出場した2016年を除いて亀澤のが多く試合に出場しており、安打数も堂上163本に対して亀澤243本と、サブ争いでは明らかに亀澤が一歩も二歩もリードしていた。

だが今季、二人の明暗を分けたのは打力の差だった。昨年、一昨年と200打席以上に立って2割8分台の打率を記録した亀澤だが、レギュラーで起用するにも代打で起用するにもあまりにも長打が少なすぎた。

亀澤が打席に立つと、相手の外野陣が極端に前に守る。その位置はほとんど投手が打つときと変わらないほどである。そして大抵の場合において亀澤は、その頭を超す打球を打つことができなかった。打っても内野の間を抜ける単打では得点効率も悪く、犠飛も期待できないため首脳陣としては使い勝手が悪かろう。

そんなときに新任の村上隆行コーチの目に留まったのが堂上直倫だったわけだ。高校通算55本塁打、3球団競合の元スラッガー候補は、大成こそ叶わなかったが潜在能力はピカイチのものがある。村上、波留両コーチは再度この怪物の秘めたる打力を引き出すべく、昨オフから大胆な打撃改造を敢行。

兼ねてから指摘され続けてきたドアスイングの矯正を諦め、むしろドアスイングを続けながら飛距離を伸ばす打法に切り替えると、その思惑はまんまとハマり、今季は従来のキャリアハイだった6本塁打の倍の12本塁打を記録したのだ。

 

堂上のキャリアプラン

 

それにしても驚くべきは、3年契約を結んだのが選手としての価値が格段に上がった今年ではなく、わずか10安打に終わった昨年のオフだったという事だ。

成績だけ見れば首筋が寒くなってもおかしくない状況で、いくらFA持ちとはいえども3年契約を結ぶなど異例中の異例。こうした待遇からも将来の幹部候補としてのレールが敷かれていることは明白だ。

面倒見もよく、後輩からも非常に慕われていると聞く。選手としては当初の大きな期待にこそ応えることはできなかったものの、それでも13年間第一線に残っているのは大したものだ。このままあと4,5年で引退し、即コーチに就任し……。40半ばでの監督就任まで妄想するのは先走りすぎだろうか。

 

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▲「サンドラ」初出演時の堂上(2000年)

 

2000年の「サンデードラゴンズ」でスーパー小学生として紹介され、中学3年生のときに参加した2003年のファン感謝デーでは“投手・福留孝介”からナゴヤドームのレフトスタンドにホームランをぶち込んで観客の度肝を抜いた。あの頃から堂上とドラゴンズの赤い糸はしっかり結ばれたまま。相思相愛の物語はまだまだ続いていくはずだ。