ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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170イニングの誓い

◯6-1(32勝39敗)

 

オープン戦、開幕戦、そして交流戦と節目の初戦にいずれも黒星を喫していた与田ドラゴンズが、事実上の後半戦スタートとなるリーグ戦再開を白星で飾った。

 

繋がる打線と盤石の勝利継投。まるで春先の好調を思い出したような試合運びだったね

 

やはり平田の復帰がデカい。ダテに名古屋の街をロールス・ロイスで激走してるだけの事はあるでよ

 

平田の復帰により目に見えて厚みを増した打線において、地味ながらいい仕事をしているのが今日6番で4試合ぶりのスタメンに入った井領だ。交流戦が始まった段階ではちょうど2割だった打率も、この一ヶ月間で2割9分4厘まで上昇した。平田の離脱というチームにとって大きな危機をチャンスと捉え、キャンプから一軍メンバーとして起用してきた首脳陣の期待に見事に応えた格好だ。

今日もしっかりダメ押しのタイムリーを放つなど存在感をアピールした井領。“平田の代役”から“レフトのレギュラー”へ。いま我々は一人の無名選手が大きく躍進する瞬間を目の当たりにしているのかもしれない。

 

大野、ノルマ170イニングへの道

 

だが今日の試合、一人だけヒーローを選べと言われたら私は迷わず大野雄大を挙げたい。6日間の休養で先発ローテを再編成し、その先陣に首脳陣が抜擢したのは目下ハーラートップに立つ柳ではなく、大野だった。もちろんこれが意味することは本人もよく分かっているだろう。残り半分のシーズンをエースとして引っ張るという重責。まだ経験の浅い柳には荷が重く、吉見や山井が今さらそんな役割を担うようではチームは前に進まない。今のローテで最もエースの名に相応しいのが大野である事に異論を唱える者はいないだろう。

開幕前、与田監督は大野に「シーズン170イニング投げる事」をノルマとして課したという。昨年、チームの最多投球イニングはガルシアの168.2回で、次点が吉見の125.2回。最低でも移籍したガルシアの分を誰かが補わなければならないと考えた時、過去200イニング登板を記録した事もある大野に白羽の矢が立つのは自然の成り行きだ。

とは言え昨季はわずか6登板で未勝利に終わった左腕が再びかつての輝きを取り戻せるのかどうか。与田も、ファンも、そして本人も、口にこそ出さないが不安しかない中でのシーズンインだった(この辺りの経緯は「文春野球」に掲載された若狭アナによるこちらの記事に詳しいのでご参照ください https://bunshun.jp/articles/-/12174?page=1)。

結果的に大野は単に先発ローテに復帰したばかりか、全盛期と比べても全く遜色ないまでに完全復活を果たした。投球イニングも1.1回差まで詰め寄られていた柳を再び引き離し、今日を終えた時点で94.2回は今永、大瀬良に次ぐリーグ3位。シーズン換算すると188.4回で、開幕前に監督から課せられたノルマを優に上回るペースとなる。

もちろん皮算用するにはまだ早いのは承知の上だが、今年の大野にはキャリアハイの2015年をも凌ぐほどの安定感がある。残り72試合。リーグ屈指のイニングイーターが後半戦、反攻の鍵を握る。